弁護士法人 Si-Law

西田ブログ

経営

経営のスピード

松下電器のある事業部がうまくいかず、事業部長が交代して立て直しを図ることになり、新任の事業部長が、松下幸之助のもとに挨拶に訪れて言いました

「いろいろ実態を調べましたが、これは必ずよくなります。だから半年間は黙ってみてください。必ず良くします。」

 

これに対して松下幸之助は笑顔でこう答えたそうです。

「そうか、半年どころか1年でもなんぼでも待つで。わしは1年でも2年でも待つけどね、しかし世間が待ってくれるかどうかは知らんで。」

 

会社を良くするためには改善を積み重ねなければなりません。しかし、改善しようという気持ちがあるにせよ、ついつい目標達成の期日を内部の事情で考えてはいないでしょうか。

 

松下幸之助が真に求めていたのは、自分たちがしている程度の努力は、他の会社でもしているに違いないと緊張感を保ち、世間が待ち望んでいる商品をどこの会社よりも早く、全力で開発するのだという固い決意だったのかもしれません。

 

時代は違えども、戦国の雄である織田信長も、何よりもスピードを重視していました。天下布武を目指して、周囲の敵対する戦国大名の誰よりも早く次々と手を打ち、多くの負け戦もしながら、負け戦と見るや神速ともいえる行動で撤退を決めて生き抜いていきました。

 

凄まじいスピードで変化する現代においては特に、たとえ1ヶ月でも、1週間、1日、1時間でも早く目標が達成できるよう全力を尽くす。そして目標を実現したら、さらにより高い目標を設定する。人よりも先んずる経営を実現するには、何よりもスピードを大切にし、改革、改善を続ける姿勢が必要なのだと思います。

 

松下幸之助は次の言葉も残しています。

「時間をかけなければよい仕事ができないとか、素晴らしい発明が生まれないという考えにとらわれるのは危険である。

われわれはスピードの時代であるということをもっと自覚して、今日考えたことはその日に実行してしまうこと、思い付いたことはすぐ実行し実現するという考え方で仕事を運んでいかねばならない。」

 

 

吉田松陰という名前はご存じの方が多いのではないでしょうか。

松陰は29歳の若さで安政の大獄によって処刑されるまで、松下村塾で門下生に孟子など様々なことを教えていましたが、松下村塾で教えていたのはたったの13ヶ月でした。

にもかかわらず、門下生として高杉晋作や伊藤博文など、明治維新を支えた多くの人物を輩出しました。

 

そんな松陰の言葉で「志を立てて以て万事の源と為す」(志を立てることから、すべては始まる)という言葉があります。

松蔭はわずか17歳で、友人に対して以下の言葉を送っています。

「進む道が正しいか正しくないか、学問や仕事が上手く行くか行かないか、それは志を立てたか立てなかったかにある。だから士たるものは、その志を立てねばならない。志があればやる気もついてくる。意気込みがあれば、目標が遠くにあってもたどりつけないことはなく、難しくてできないということもない。」

 

また、松蔭は「至誠にして動かざる者未だ之れ有らざるなり。」(至誠をもってすれば、不可能なことはない)という言葉を残しています。

そして、誠の一字には3つの大義があり、一に実行、二に専一、三に継続であると言っています。

どんなに優れたことも「実行」しなければ意味がない。とはいえ、実行しても、そう簡単に望みどおりにやり遂げられることは稀である。だから他のことを考えず、ただ1つの事に心を注ぐことが重要で、これが「専一」である。そして、決して途中で諦めず「継続」しなければならない。

つまり、人間は、1つの事に心を注いで実行して継続することが大切だと、松蔭は伝えているのです。

 

志を言葉にできますか?

志を社員に伝えていますか?

言葉にしなければ相手には伝わりません。

言葉にしても行動しなければ意味がありません。

行動も集中して継続しなければ結果は出ません。

言うのは簡単ですが実際に行うことは難しいものです。

揺るがない志がなければ、行動意欲が沸かず、やり遂げることは困難になります。

志がなければ、人も付いてこない、組織もまとまらない、客に支持されない。

志は全ての源となるのです。

 

自責と他責

あるとき、あまり仕事が順調ではない幹部が、「もう少し優秀な部下がいたらと思います。」と愚痴を漏らしたところ、それを耳にした松下幸之助は、激しい口調で次のように諭したそうです。

 

「きみはいま、優秀な人間がいたらと言ったけれども、優秀な人間を集めたからといって優秀な会社になるとはかぎらん。だれもが少しでもいい仕事をして、会社に喜んでもらい、自分も喜びたい、世間の役にも立ちたいと思って会社に来ているはずや。大事なのはその人達が示された方針をきちんと守ってやってくれるかどうかであって、優秀かどうかではない。肝心なのは、その人達に対して、はっきり会社の方針と目標を示して、やり方を明示することなんや。肝心なのはきみだよ」

 

他人のせいにしてしまうと、その瞬間は気持ちの整理ができるのかもしれません。「自分は頑張っているのに、周りが動いてくれない・・・」「自分の苦労を社員は分かっていない・・・」

そんな風に思いたい時は少なからずあります。

しかし、どんな状況であっても、責任は全て自分にある、と心掛けて、発意・実行・反省を繰り返す習慣をつけていけば、そのときよかったと思えたことが、実は半分よくなかったとあとから分かってきたりして、次の歩みの過ちを少なくすることができるのだと思います。

 

松下幸之助は日々の仕事において、「朝に発意、昼に実行、そして夕べに反省、こういう日々を繰り返したい」と言い、同様に月のはじめ、年のはじめに発意して、1ヶ月、1年間実行に努め、月の終わり、年の終わりに反省していたそうです。

企業が改善し続けるために、PDCAサイクルやPDSサイクルを回すことが必要だとよく言われますが、松下幸之助の言う発意・実行・反省とはまさに、このサイクルと同じ事を言っていると思うのです。

 

松下幸之助は次の言葉も残しています。

「物事がうまくいかない場合には、非常に深く反省をして、かくなった原因はどこにあったか、それはことごとく自分になるのだ、と考えねばなりません。

その反省を強く行っていくならば、失敗というものは絶無になる、といってもよいのではないかと思うのです。」

 

西田ブログ