弁護士法人 Si-Law

西田ブログ

3つの時間

経営者が会社のために使う時間には限りがあります。会社のために効果的な使い方をしているかどうかを判断するためには、「3つの時間」を知ることが有効です。

 

1.トラブルに対応する時間

お客様からのクレームや事故といったトラブルが発生した時、リーダーは率先垂範の心構えで迅速かつ真摯に対応しなければなりません。しかし、経営者が多くの時間を割いてトラブルを解決したとしても、元の状態に戻るだけで会社がより良くなるわけではありません。

 

2.現在の事業を維持するための時間

お客さま対応、仕入先との取引、社員との面談など多数あります。どれも大切な仕事ですが、経営者が精一杯働いているつもりでも、会社は現事業を維持するので手一杯になり、時代の変化とともにジリ貧に陥ります。

 

3.会社の未来のために使う時間

経営者にとって最も重要になるのが、会社の未来のためにどれだけの時間を使うことができるかです。未来のために時間を使えるのは経営者だけです。どんなに優秀な部下であっても、目の前の仕事を確実に終わらせることが部下のやるべき仕事だからです。

未来のために使う時間とは、新規事業の構想を練る時間、新規事業を立ち上げるために使う時間、現事業の新たな機会追求に費やす時間、将来の幹部候補生となる有能な人材を確保する時間、学びを得るためにいろんなセミナーを受ける時間、新たな人と会う時間などであり、未来のための布石を打つ時間を持つのは、会社の未来にとって大切なことなのです。

「散歩のついでに富士山に登る人はいない」ように、トラブル対応、現在の事業維持に時間を費やす日々の中では、未来のための時間を確保できません。「未来のために使う時間」の確保は、意識的に優先して確保することが大切です。

経営者は仕事以外の時間の使い方も重要です。病気などのトラブル対応や現在の生活維持だけでなく、健康で豊かな老後の生活を送るための準備など自分の未来について考える時間を確保すべきだと思います。目の前のことに時間を使う一方で、未来のために時間を使わなければ、その場しのぎの人生で終わってしまうと思うのです。

 

運を見る

あるジャーナリストが松下幸之助と部下の抜擢について尋ねました。

「あなたは部下を抜擢するときに、その人のどこを見ますか?頭の良い悪いですか?」

「そんなのは関係ない。頭の良い人間は、要領よく生きようとしてむしろ小賢しい。小賢しいよりは『鈍』な人間のほうがいい。」

 

「では健康ですか?」

「それも関係ない。健康な人間は陣頭に立って、『俺について来い』という。しかし、そういうときには得てして、後ろを振り返ったら誰もついて来ていなかったということがある。私は半病人だから、そんなに気張って前を歩くことはできない。みんなの後ろからついていくわけですよ。」

 

「それでは誠実さですか?」

「誠実も関係ない。従業員が誠実になるかどうかは経営者しだい。経営者がエコヒイキをすれば、従業員は皆、非誠実になって裏切りだってやりかねないのです。」

 

「では、いったいどこを見るのです?」

「運です。運のない人間はあきまへん。」

「一目見て、この人間は運が良いいのか悪いのか、分かるのですか?」

「わかります。」

 

松下幸之助が言うところの「運がいい」とは何でしょうか。

天運に恵まれた人が良いという意味ではないと思います。

上手くいっている方々の中には「自分は運が良かった」と言う方も多くいます。

難しい問題や矛盾する出来事があったとき、いつも前向きに楽しんで取り組むことで、物事は解決しやすくなり、ひいては運をも引き寄せるという意味ではないでしょうか。

 

人の上に立つ人が難問にぶつかった時に「ついていない」「運が悪い」と暗くなっては、組織全体が暗く悲観的になってしまいます。

特に人の上に立つトップには、運を引寄せる考え方と行動と習慣が必要だと思うのです。

 

人間尊重の道場

小説「海賊と呼ばれた男」のモデルとなっている出光興産の創業者「出光佐三」は、新入社員入社式でこのような言葉を残しています。
「出光は事業会社でありますが、組織や規則等に制約されて、人が働かされているたぐいの大会社とは違っているのであります。出光は創業以来『人間尊重』を社是として、お互いが錬磨して来た道場であります。諸君はこの人間尊重という一つの道場に入ったのであります。」

出光佐三が説くところは、いつも形而上的な観念論で、金を儲けるための商売のコツなどの実利的な側面は全くなかったそうです。にもかかわらず、事業経営の上でも稀に見る大きな成功を収めています。その秘密は、「会社は人間尊重の道場である」などの出光佐三の言葉一つ一つに隠されていると思うのです。

のちに出光興産の相談役になった石田正貫は、出光佐三との思い出を以下のように語ったそうです。
「この人は、私とは40年を超える長い付き合いであった。にもかかわらず、私にはただの一度も『金を儲けよ』とは言われなかった。」

出光佐三は、「金を儲けよ」とは言わずに「人間を尊重せよ」「人を愛せよ」と言いました。そのような考えを表す言葉としてこのような言葉を残しています。
「人を育てる根本は愛である。愛とはいかなる場合にも、自分を無私にして、相手の立場を考えるということである。われわれ出光はこの愛を口先だけでなく、ひたすら不言実行してきたがために、今日の人を中心とした出光の形が出来上がった。」

出光佐三は、「入社した社員は子供が生まれたという気持ちになって、これを愛の手を伸ばして育てることになっている」と語っています。すなわち、新入社員は新しい子供だと思い、育てるそうです。
会社は、人間成長の道場であり学校です。経営者は、そのような覚悟をもって経営をすべきだと思うのです。

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