弁護士法人 Si-Law

西田ブログ

経営の全体像

経営の全体像はご存じでしょうか?

物事を考える時は、俯瞰して全体像を見る視点が不可欠です。

全体像を把握した後に優先順位を付けるという、着眼大局、着手小局の視点が必要で、経営でも同じ視点が必要となります。

経営には8つの要因があり、それぞれに重要度、ウエイトがあります。

経営の要因は、商品・地域・客層・営業・顧客・組織・資金・時間の8つとなります。

 

まず、何を売るのか、どこで売るのか、誰に売るのか。

この3つを決めた後に、どうやって売るのか、作ったお客様をどうやって維持するのか考えます。

その後、必要な組織を作り、資金の配分を考えます。

最後に、上記7つの要因に対して、どういう時間の配分をするのか決めます。

 

商品・地域・客層は経営の三大要因であり、この三大要因のことを事業領域の決定、もしくはドメインと言います。

商品。商品は、三大要因の中で目に見えるものであり、特に中小企業は、自社より強い相手と同じ商品にならないようにしなければなりません。

地域。どこの地域のシェアNO.1を目指すのか。ライバル他社にここの地域なら勝てる、もしくは自社より強い相手がいない地域を探し出す視点が必要です。

客層。どの客層を中心にするのか。これもライバル他社にこの客層なら勝てる、もしくは自社より強い相手が中心としている客層との差別化を図ることが有効です。

 

事業ドメインの設定で事業の成否は8割決まってしまいます。

自社の事業ドメインをどのように設定するか…

経営者はこのとこに時間と労力を費やすべきだと思うのです。

 

多角化戦略

多角化戦略は、大きく分けると3つの方法があると言えます。

①商品開発戦略での多角化、②市場開拓戦略での多角化、③異業種進出戦略での多角化

 

①商品開発戦略での多角化

新しい商品を、既存顧客に提供する。具体的な手法としては、現在の事業に新しい技術(ノウハウ)をプラスするなど。

②市場開拓戦略での多角化

現在の商品で、新しい市場を開拓する。

③異業種進出戦略での多角化

これまでの事業とは無関係の異業種に進出する。

 

創造的に模倣する。

能力も資力も市場も違う他社のやり方をそのままマネしても、うまく行かないかも知れません。

しかし、伸びている商品には理由があります。伸びている会社には良い仕組みがあります。他社のマネは、決して悪いことではありません。

良い仕組みを自社に適合した仕組みにして取り入れることは、むしろ成功の確率が高く有効な手段と言えます。

 

経営者には、成功と失敗の本質を見分ける眼力が必要であろうと思うのです。

 

 

多角化経営

ヤマチユナイテッドグループ代表山地章夫社長は、「THE100VISION」という経営ビジョンにおいて、①100の事業を成功させる、②100人の経営トップを生み出す、③100事業×売上10億円=1000億円企業になる、④100年以上続くいい会社を作ることを目標とされました。

そして,社長に就任した1998年に多角化を進め、北海道に本社をおいて、現在まで50以上の事業・企業を立ち上げて、グループ計売上高160億円、従業員数550名(2015年時点)の企業グループを構築されました。

山地社長は、著書「会社を強くする多角化の経営の実戦」(発行:株式会社クロスメディア・パブリッシング)で多角化の4つのメリットを指摘されています。

 

①「規模拡大の近道」になる

縮小する市場で売上を伸ばすのは、下りのエスカレーターを駆け上がるようなもの。

既存事業の成長には限界があるが、新規の事業はそのまま業績アップにつながる。

②リスクを分散できる

山地社長が多角化経営に乗り出した最大の理由。

北海道拓殖銀行の経営破綻後の金融不況から従業員を半分以上リストラすることになった経験から多角化経営に乗り出した。

一つの事業が立ち行かなくなっても、他の事業でカバーできるメリットがある。

③社長の成長を促せる

社員も新たな企業の社長となり、新しい仕事にチャレンジしたり、部下を持ったりして、日々悩み考えながら経験を積むことによって、自ら利益を生み出し、組織を動かしていく力が身につく。

④社長業に余裕が生まれる

本来社長が取り組むべき仕事は、ビジネスプランや戦略、会社のしくみ、危機対応を考えるなどであり、社長が仕事を抱え込むと社員も育たない。

多角化と同時に経営という作業を分解して社員に分担する仕組みを作れば、社長の仕事は減っていく。

社長の自由になる時間が増えれば、新ビジネスのタネが舞い込んで来たとき迅速に対応できる。

 

中小企業は「選択と集中」をして負けない事業ドメインを作った方がよいと言われます。

これも真であろうと思います。

しかし、少子高齢化が進み市場が縮小していく中では、時・場所・能力・資力等が許すのであれば、多角化経営も中小企業が成長する方法の1つであろうと思います。

 

人は意識しているものしか見えません。

新ビジネスのタネは社長のすぐ傍らに落ちているかも知れないのです。

 

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