2019/08/12 08:31|カテゴリー:経営
吉田松陰という名前はご存じの方が多いのではないでしょうか。
松陰は29歳の若さで安政の大獄によって処刑されるまで、松下村塾で門下生に孟子など様々なことを教えていましたが、松下村塾で教えていたのはたったの13ヶ月でした。
にもかかわらず、門下生として高杉晋作や伊藤博文など、明治維新を支えた多くの人物を輩出しました。
そんな松陰の言葉で「志を立てて以て万事の源と為す」(志を立てることから、すべては始まる)という言葉があります。
松蔭はわずか17歳で、友人に対して以下の言葉を送っています。
「進む道が正しいか正しくないか、学問や仕事が上手く行くか行かないか、それは志を立てたか立てなかったかにある。だから士たるものは、その志を立てねばならない。志があればやる気もついてくる。意気込みがあれば、目標が遠くにあってもたどりつけないことはなく、難しくてできないということもない。」
また、松蔭は「至誠にして動かざる者未だ之れ有らざるなり。」(至誠をもってすれば、不可能なことはない)という言葉を残しています。
そして、誠の一字には3つの大義があり、一に実行、二に専一、三に継続であると言っています。
どんなに優れたことも「実行」しなければ意味がない。とはいえ、実行しても、そう簡単に望みどおりにやり遂げられることは稀である。だから他のことを考えず、ただ1つの事に心を注ぐことが重要で、これが「専一」である。そして、決して途中で諦めず「継続」しなければならない。
つまり、人間は、1つの事に心を注いで実行して継続することが大切だと、松蔭は伝えているのです。
志を言葉にできますか?
志を社員に伝えていますか?
言葉にしなければ相手には伝わりません。
言葉にしても行動しなければ意味がありません。
行動も集中して継続しなければ結果は出ません。
言うのは簡単ですが実際に行うことは難しいものです。
揺るがない志がなければ、行動意欲が沸かず、やり遂げることは困難になります。
志がなければ、人も付いてこない、組織もまとまらない、客に支持されない。
志は全ての源となるのです。
2019/07/10 10:46|カテゴリー:経営
あるとき、あまり仕事が順調ではない幹部が、「もう少し優秀な部下がいたらと思います。」と愚痴を漏らしたところ、それを耳にした松下幸之助は、激しい口調で次のように諭したそうです。
「きみはいま、優秀な人間がいたらと言ったけれども、優秀な人間を集めたからといって優秀な会社になるとはかぎらん。だれもが少しでもいい仕事をして、会社に喜んでもらい、自分も喜びたい、世間の役にも立ちたいと思って会社に来ているはずや。大事なのはその人達が示された方針をきちんと守ってやってくれるかどうかであって、優秀かどうかではない。肝心なのは、その人達に対して、はっきり会社の方針と目標を示して、やり方を明示することなんや。肝心なのはきみだよ」
他人のせいにしてしまうと、その瞬間は気持ちの整理ができるのかもしれません。「自分は頑張っているのに、周りが動いてくれない・・・」「自分の苦労を社員は分かっていない・・・」
そんな風に思いたい時は少なからずあります。
しかし、どんな状況であっても、責任は全て自分にある、と心掛けて、発意・実行・反省を繰り返す習慣をつけていけば、そのときよかったと思えたことが、実は半分よくなかったとあとから分かってきたりして、次の歩みの過ちを少なくすることができるのだと思います。
松下幸之助は日々の仕事において、「朝に発意、昼に実行、そして夕べに反省、こういう日々を繰り返したい」と言い、同様に月のはじめ、年のはじめに発意して、1ヶ月、1年間実行に努め、月の終わり、年の終わりに反省していたそうです。
企業が改善し続けるために、PDCAサイクルやPDSサイクルを回すことが必要だとよく言われますが、松下幸之助の言う発意・実行・反省とはまさに、このサイクルと同じ事を言っていると思うのです。
松下幸之助は次の言葉も残しています。
「物事がうまくいかない場合には、非常に深く反省をして、かくなった原因はどこにあったか、それはことごとく自分になるのだ、と考えねばなりません。
その反省を強く行っていくならば、失敗というものは絶無になる、といってもよいのではないかと思うのです。」
2019/06/04 07:23|カテゴリー:経営
「チーズはどこへ消えた?」(スペンサー・ジョンソン著)という物語は、ご存じでしょうか?非常に興味深く、鋭い示唆を含んだ物語です。
要約して書けるほど短い物語ではないので、物語の内容についてはお話しすることはできませんが、前書き部分だけ紹介します。
『この物語に登場するのは、
2匹のネズミ「スニッフ」と「スカリ-」と、2人の小人「ヘム」と「ホー」。
この2匹と2人は、私たちの中にある単純さと複雑さを象徴している。
私たちは、スニッフのようにいち早くチャンスをかぎつけることもあるし、
スカリーのように、すぐさま行動を起こすこともあるし、
ヘムのように、一層まずいことになりやしないかと怯えて、
変化を認めず、変化に逆らうこともあるし、
ホーのように、もっといいことがあるに違いないと、
うまく変化の波に乗ろうとすることもある。
どのような行動をとろうと、
私たちみんなに共通していることがある。
迷路の中で、自分の道をみつけ、
時代の変化の中で、望みを成就せねばならないということだ。
人生は、自由に何の邪魔者もなく歩めるような、
まっすぐで楽な廊下ではなく、
通る者にとっては迷路で、
自分で道を見つけねばならず、
道に迷い、訳が分からなくなり、時には、
袋小路に突き当たることもある。
しかし、信念があれば、
必ずや道は開ける。
思っていたような道ではないかもしれないが、
やがてはよかったと分かる道が。』
私は、経営者という立場にいるかもしれませんが、経営そのものを語ったような言葉だと感じました。
時代は間違いなく変動期にあります。
少子高齢化、ITやAIの発達、それに伴う市場規模の拡大と縮小など、企業にとって機会と脅威が混在しています。
未来を完全に予見することは不可能であり、変化することの恐怖に支配され、現状にしがみつきたい衝動に駆られそうになります。
しかし、現状延長線上に新しい未来を描くことが難しい時代になりました。
変化を恐れず、変化を楽しみ、理想と希望をもって前に進むべきだと思っています。
「チーズはどこへ消えた?」という物語から、そんなことを考えさせられました。
物語の最後に小人のホーが、こんな言葉を残しています。
変化は起きる
変化を予期せよ
変化を探知せよ
変化にすばやく適応せよ
変わろう
変化を楽しもう
進んですばやく変わり再びそれを楽しもう