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西田ブログ

事業承継

医療法人の事業承継は何が違う?持分と手続き|八代の弁護士が解説

医療法人の経営者様が直面する重要な問題の一つが、「引退時にこの医療法人を誰に託すか」という後継問題です。

株式会社とは異なり、医療法人の事業承継は特有の方法があり、それぞれにメリットとデメリットとが存在します。

本稿では、医療法人の事業承継における株式会社との違いや注意点などをわかりやすく解説します。

 

  • 医療法人における事業承継の現状

 

日本は高齢化社会に突入しており、この変化は医療業界にも大きな影響を及ぼしています。

一般の会社とは異なり、医療業界では、後継者は医師の資格が必要なため、診療所を引き継ぐ人を見つけるのが一層難しくなっています。

また医師であっても、診療所の運営を引き継ぐには、多くの準備と大きな責任が伴います。

これから先も、多くの診療所が引き継ぐ方を見つけることの難しさに直面することが予想されます。

 

  • 医療法人の種類

 

医療法人は、病院や診療所など医療機関を運営する特別な組織です。

これらの組織は、公共性が高い医療サービスを提供する役割を持ち、設立や運営には特別なルールがあります。

主に「財団医療法人」と「社団医療法人」の2つの種類があり、「社団医療法人」はさらに「持分あり」と「持分なし」に分かれます。

 

以下、詳しく解説します。

 

  • 財団医療法人

個人や団体の寄付によって設立され、出資者がいない医療法人です。

主に病院の運営者が管理し、得た利益は法人の発展や公益事業への再投資や未来のリスク対応に使われます。

  • 社団医療法人

医師や医療従事者が集まってお金を出し合って作ります。

 

中には「持分あり」と「持分なし」の2種類が存在します。

 

・持分あり

医師や従事者には、出資金に応じた持分がある。

将来、その持分を他人に譲ったり、医療法人が解散する際には持分に応じたお金を受け取ることができます。

 

・持分なし

医師や従事者が出資金を出しても医師に持分がない。

給与以外に、持分による返金はなく、利益は全て医療法人に帰属し、個々の医師には利益分配がされません。

 

この「持ち分無し」は現在も新しく設立が可能で、公益性の高い運営が期待されています。

 

●「持ち分」

ここで言う「持分」とは、その医療法人にどれだけのお金を出したかの「証し」のこと

 

 

  • 出資持分ありの医療法人

 

医師が退職する時や法人が解散する時に、出資した医師に返金されるお金が関係します。

出資した医師は、将来的にその出資金や法人が利益を出した場合、その一部を受け取る権利があります。

 

例:)

医師が100万円を出資した場合、退職や法人解散時にその100万円(又はそれ以上)

を受け取る可能性があります。

 

 

設立条件

2007年の医療法改正前には設立可能でしたが、改正以降、「持分あり」の医療法人は新しく設立することはできません。

 

既存の法人はそのまま存続しています。

 

解散時の財産分配

解散時には、出資者に対してその持分に応じた財産が分配されます。

 

 

  • 出資持分なしの医療法人

設立条件

出資金なしで設立可能です。

医師は給料のみを受け取り、出資による追加のメリットはありません。

 

解散時の財産分配

法人が解散すると、残った財産は出資者個人には渡らず、国や公的機関に引き渡されます。

 

2007年の医療法改正以降、「持分なし」の医療法人のみが新規に設立可能となっています。

 

  • 医療法人と株式会社の違い

医療法人と株式会社、これらはどちらも「法人」という形で組織されていますが、その目的や構造、そして法律による取り扱いに大きな違いがあります。

医療法人は人々の健康を守ることを目的とした非営利組織であり、一方の株式会社は利益を追求する営利組織です。

 

※参照※https://www.bk.mufg.jp/soudan/shisan/lp/column/18.html

 

■法人の機関設計

 

株式会社

取締役会や株主総会といった機関が中心となり運営されます。

取締役1人でも設立でき、その運営は比較的柔軟です。

 

医療法人

理事会という組織が運営の中心となり、最低3人の理事が必要です。

さらに、運営の透明性を高めるために監事が置かれ、組織のチェック機能を果たします。

 

■法人成立の条件

 

株式会社

登記を行うことで法人格を取得します。

経済活動を活発にするために柔軟性を持たせており、手続きは比較的簡単で、誰でも設立が可能です。

 

医療法人

都道府県知事の認可が必要となり、設立には厳しい審査が伴います。

この認可を受けるためには、医療機関としての適切な設備や人材、運営計画が求められます。

 

■営利性

 

株式会社

利益を追求し、その利益を株主に還元することが目的です。

株式会社は基本的に自由な事業活動が認められています。

 

医療法人

利益追求を主目的とせず、利益を社員や株主に還元することは禁じられています。

そのため、利益は再投資や社会貢献活動に使われることが一般的です。

 

■議決権

 

株式会社

出資額に応じて議決権が配分され、出資額が多いほど大きな発言力を持ちます。

 

医療法人

出資額に関わらず、一人一票の原則が適用されます。

 

■利益の配分

 

株式会社

利益は株主に配当として支払われることが一般的です。

配当政策は会社の方針によります。

 

医療法人

利益を個人に配当することは原則禁止されています。

すべての利益は医療法人内で再投資されるか、社会貢献活動に使われます。

 

■解散時の財産処分

 

株式会社

解散時に残った財産は、株主に分配され、出資した金額に応じて財産を受け取る権利があります。

 

医療法人

解散時の残った財産は、原則として公的機関や他の医療法人に寄付され、個人への分配は行われません。

医療法人は、患者さんの健康を守り、社会に貢献することを最優先に考えています。

このため、医療法人で得られた収益は、公共の福祉や他の医療活動への支援に使われます。

 

これらの特性が、医療法人は一般的な株式会社とは違う特別な役割です。

 

・医療法人と株式会社の違い

 

医療法人

準拠法     ・・・医療法

法人設立の条件 ・・・都道府県知事の許可後設立登記

最高意思決定機関・・・社員総会

役員の名称   ・・・理事

代表者     ・・・理事長

議決権     ・・・社員1人につき1個

配当の可否   ・・・配当禁止

 

株式会社

準拠法     ・・・会社法

法人設立の条件 ・・・設立登記のみ

最高意思決定機関・・・株主総会

役員の名称   ・・・取締役会

代表者     ・・・代表取締役

決議権     ・・・持株数に応じて付与

配当の可否   ・・・配当可能

 

  • 医療法人の事業承継スキーム

 

医療法人の経営者病院や診療所の運営を引き継ぐ際には、「家族内で引き継ぐ方法」と「外部の第三者に引き継ぐ方法」の2つがあります。

 

詳しい説明は以下の通りです。

 

  • 医療法人の親族内事業承継

 

 

親族内事業承継とは、医療法人(病院や診療所)の経営権を、家族の中から次の世代に引き継ぐことを言います。

 

親族内事業承継には、主に以下の3つの方法があります。

 

  • 出資持分の移転

 

 

出資持分とは、今の経営者が医療法人に出したお金のことを指します。

 

このお金の部分を次に経営を継ぐ子供や親族に渡すことで、持ち分を移転する方法は以下の3の方法です。

 

1)相続

経営者が亡くなったとき、法律で定められた規則に従って持分が家族に渡ります。

 

2)贈与

経営者、自分の持っている持分を家族に譲渡します。

(これには贈与税がかかる場合があります)

 

3)売却

経営者が自分の持っている持分を家族にお金を受け取って売り渡します。

しかし、医療法人の場合は特殊で、持分を渡しても経営の決定権が自動的に移るわけではないので、社員総会などでの合意が必要です。

 

メリット・デメリット

 

メリット

・後継者への資産移転が生前にでき、相続時の納税資金を準備できる。

・贈与税は株価が低ければ低く抑えられる。

・段階的な移転で、徐々に後継者に経営を任せられる。

・払い戻しに比べ、手続きが簡単。

 

デメリット

・贈与税等の納税コストが発生する。

・承継後に後継者と現経営者との対立が生じるリスクがある。

・持ち分移転だけでは経営権の移転は完了せず、社員総会の承認が必要。

・現物出資の場合は評価が難しく、将来的にトラブルのリスクがある。

 

  • 出資持分の払い戻し

 

医療法人が経営者の持っている持分を買い取り、その後でそのお金を家族に渡す方法です。

この方法でも、持分を渡したからといって自動的に経営権が移るわけではないので、社員総会などでの合意が必要です。

 

メリット・デメリット

 

メリット

・現経営者は会社から資金を引き出せるので節税対策や老後資金の確保ができる。

・後継者は新規出資者として新たなスタートがきれるので、経営の立て直しがしやすい。

・払い戻しと新規出資で持ち分の再編が可能になる。

・贈与税がかからない(相続時精算課税)

・会社としても新たな資金調達が可能となる。

 

デメリット

・払い戻しの資金調達が必要で会社の資金繰りが悪化するリスクがある。

・払い戻し額次第では、多額の法人税や個人の譲渡所得税が発生する。

・社員総会の承認が得られない場合、経営権は移転できない。

・後継者が新規出資できる資金がない場合、スキームが成り立たない。

 

 

  • 認定医療法人の活用

 

 

これは税金の面で特別な優遇措置を受けられる制度です。

通常、持分を家族に渡す際には税金がかかりますが、認定医療法人の制度を使うと税金がかかりません。

 

医療法人を変更

まず、医療法人の形態を「持分のない形」に変えます。

これにより、普通なら発生する贈与税がかからなくなります。

 

税金が免除

変更後、6年間で贈与税が完全に免除されます。

 

経営への関与

持分を手放しても、経営から手を引くわけではなく、役員として残れば、経営に関わることができます。

 

この制度を活用することで、税金の負担を減らしながら、事業承継を進めることが可能です。

ただし、細かい手続きが必要なので、専門家のアドバイスを受け、早めの準備が重要です。

 

メリット・デメリット

 

メリット

・出資持分の処分などを行う場合に税金面でリスクがない。

・後継者は出資持分の取得資金が不要

・雇用や許認可はそのまま引き継がれるため、病院経営に影響がない。

 

デメリット

認定医療法人として、許可されるためには、要件を満たす必要がある。

・出資持分を放棄するため、前理事長は出資持分の払い戻しができなくなる。

 

  • 医療法人の第三者承継

 

第三者承継とは、新たに医療法人の運営に関与する者へ権利義務を移転することを指します。

 

医療法人の第三者承継には

・持分譲渡

・出資持分の払い戻し

・合併

・事業譲渡

これら4つのスキームがあります。

 

詳しい説明は以下の通りです。

 

  • 持分譲渡

 

 

医療法人の「持ち分」(会社の一部を示す権利)を他の人に売る方法です。

株式会社の株式を売るように、医療法人の一部をお金で買い取ってもらいます。

 

メリット

・手続きがシンプル

持ち分を売買する手続きは比較的簡単で、新しい経営者にスムーズに変わることができます。

 

・新しい資金や技術の導入

新しい持ち主が、新たな資金や技術を医療法人に持ち込む可能性があります。

デメリット

・資金の準備が必要

引き継ぐ方は、持ち分を買うために必要なお金を用意しなければなりません。

 

・全社員の同意が必要

社員総会などでの医療法人の社員の同意を得なければならないため、手続きに時間がかかることがあります。

 

メリット・デメリット

 

メリット

・手続きが簡単であり、比較的短い期間で事業承継を行う事が可能。

・雇用、許認可、取引先も自動的に承継できる。

 

デメリット

・譲渡側は簿外責務や偶発責務も引き継ぐリスクがある。

 

 

  • 出資持分の払い戻し

 

 

医療法人自体が、現在の出資者の持分を買い戻し、その後新たな出資者にその資金を配分し承継者を迎え入れます。

 

この方法により、医療法人の財務構造を更新し、新しい経営体制を築くことができます。

 

メリット

法人内の資金の流れを整理し、組織の新たなスタートを切ることができます。

新しい出資者の導入が比較的容易になります。

 

デメリット

買い戻しによる資金の流出が、医療法人の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

払い戻しには社員の同意が必要であり、全員で取り付ける必要があります。

 

メリット・デメリット

 

メリット

・手続きが簡単。

・雇用、許認可、取引先も自動的に承継できる。

 

デメリット

・譲渡側は簿外債務や偶発責務も引き継ぐリスクがある。

・譲渡側は出資して入社するかたちとなるため、出資金を用意しなければならない。

 

 

 

  • 合併

 

 

合併は医療法人を引き継ぐ一つの方法で、複数の病院やクリニックが一緒になり、より強固な医療機関を作ります。

医療法人の引継ぎ方法として、合併は多く選ばれる選択肢です。

■合併

 

メリット

①シナジー効果

複数の医療機関が一緒になることで、より安定した経営やリスクの分散が期待できます。

また、共通の資金を活用して、最新の医療技術を導入することも可能になります。

 

②サービスの向上

さまざまな専門の医師が集まることで、より幅広い治療を提供でき、医療サービスの質も高まります。

 

③経済的効率

資源を統合することでコスト削減が見込め、運営が効率的になります。

 

④サービスエリアの拡大

より広い地域に医療サービスを提供することが可能になります。

 

 

・注意点

 

①手続きの複雑さ

合併には多くの手続きが必要で、時間と労力がかかります。

 

②従業員の不安

新しい組織体制への移行により、従業員の間に不安や抵抗感が生じる可能性があります。

合併には、「新設合併」と「吸収合併」の二つの方法があります。

■新設合併

 

メリット

①新しいスタート

全ての医療法人が解散し、新しい名前、新しいルールで、一から始めることができ、最新の運営構造や技術を導入しやすくなります。

 

②一致団結

全員が同じスタートラインに立つため、組織内の団結力が高まります。

 

デメリット

①時間と労力

新しい法人を設立するには、多くの準備が必要で、手間と時間がかかります。

 

②初期投資

新しいスタートを切るため、初期投資が大きくなる可能性があります。

■吸収合併

 

メリット

①スムーズな移行

一つの医療法人が他の法人を吸収する形式なので、既存の組織やルールを継続しやすく、事業の継続がスムーズです。

 

②リソースの統合

資源や人材を一つの法人に統合することで、効率的な運営が可能になります。

 

デメリット

①バランスの問題

一方が他方を吸収する形なので、合併される側の職員や患者さんに不安を与えることがあります。

 

②統合の複雑さ

複数の組織やシステムを一つにするのは複雑で、一緒になった後も運営に課題が生じることがあります。

合併を検討する際は、メリットと注意点、新設合併と吸収合併をよく理解し、総合的に判断することが重要です。

 

メリット・デメリット

メリット

・許認可をすべて、引き継げる。

・持ち分を対価にできるため買収資金が不要になる。

・要件を満たす場合は適格合併と認められ、薄価で取得でき法人税がかからない。

・要件を満たす場合は消滅側法人の繰越欠損金を引き継ぐことができる。

 

デメリット

・包括承継となるため、簿外債務や偶発責務を引き継ぐリスクがある。

・都道府県知事による合併の認可が必要。

・債権者保護手続などの法定手続きが必要。

 

 

  • 事業譲渡

 

 

事業譲渡とは、医療法人が経営している複数の診療所や病院の中から、特定の1つだけを第三者に移す手続きのことです。

例えば、医療法人が3つのクリニックを運営していた場合、そのうち1つのクリニックだけを別の医療法人や個人に譲り渡すことができます。

 

このように、全体ではなく一部分の事業だけを移譲したい時に、事業譲渡を選択する場合が多いです。

 

事業譲渡の具体的な手続きについては、医療法には規定がありません。

そのため、会社の規定に従って進めていきます。

医療法人と譲渡先で事業譲渡契約を結び、関係機関への届出を行えば、クリニックの経営権が移譲できるということです。

 

事業の一部分だけを切り離して移譲できるのが、事業譲渡の特徴となります。

それぞれにメリットとデメリットがあり、医療法人の特定の状況や目的によって最適な選択肢が異なります。

そのため、専門家と相談しながら、最適な事業承継スキームを検討することが重要です。

 

 

  • 医療法人の事業承継にかかる税金

 

 

医療法人は、通常、利益を出資者に分けないので、お金が内部にたくさんたまってしまうことがよくあります。

この溜まった利益が多いと、引き継ぎ時の税金が高くなることがあります。

家族から引き継ぐ場合、引き継ぐ人が払う税金が高額になることがあります

また、他の人から医療法人を買う場合は、買った金額に対して税金がかかってしまいます。

税金については複雑なことも多いので、税の専門家に相談しましょう。

 

 

  • 医療法人を事業承継する際の3つの注意点

 

1. 後継者は医師・歯科医師に限られる

 

医療法人を率いるには、医師や歯科医師のような専門資格が必要です

 

これは、医療法人が患者に直接医療サービスを提供する組織であるため、運営には専門的な知識が求められるからです

 

医療分野での経験がない方が後継者になることは困難です

 

2. 意思決定のコントロールが難しい

 

医療法人では、どれだけ資金を提供したとしても、経営の決定には社員全員の同意が必要になります

 

経営権を引き継いでも、社員からの信頼と理解を得なければなりません

 

後継者を支援し、同じ意向を持つ社員や理事を多く確保することが重要になります

 

3. 出資持分を買うにはお金がかかる

 

経営権を継ぐためには、出資持分を買い取る必要があり、それには大きな資金が必要です資金調達の方法としては、銀行からの借り入れや現経営者からの借り入れなどが考えられます

 

しかし、医療法人は配当を出せないため、引き継いだあと、直接的な収益を得ることは難しいです

 

資金が不足する場合は、銀行から融資を受けたり、現経営者から借り入れをするなどの対応が求められます

 

→(事業承継_融資 リンクページ ※作成予定)

 

  • 医療法人の事業承継を円滑に進めるためのポイント

 

 

医療法人の事業承継を円滑に進めるためには、以下のポイントが重要となります。

 

・経営状態の黒字化

経営状態を健全化し、黒字化。

収益を増やし、費用を削減して、健全な財務状態を維持。

 

・ 適切な候補者の選定

医療法人の理念や価値観を理解し、共感できる人物を選ぶこと。

 

・後継者の育成

実際の業務を通じて、医療や経営の現場経験を積む機会を作ること。

 

・事業承継計画

事業承継計画を事前にしっかりと立てておくこと。

承継計画や資金調達、法的手続きなど、十分な準備を行うことで、スムーズな事業承継が実現できます。

 

 

  • 医療法人の事業承継をお考えなら、専門家である「この街の事業承継」にご相談下さい。

 

 

医療法人の事業承継についてお考えの皆様へ日々の医療現場でのご尽力、心より敬意を表します。

 

私たちの社会が直面する人口減少や少子化の問題は、医療法人の未来にも大きな影響を及ぼしております。

このような変化の時代にあっても、医療法人が提供する貴重な価値を次の世代にしっかりと引き継ぎ、さらなる発展を願っております。

 

医療法人の事業承継は複雑な部分がたくさんあります。

税金のこと、法律のこと、そして病院やクリニックの運営のこと・・。

 

税務や法律、経営の面で多くの準備と慎重な対応が必要とされます。

 

一つひとつ丁寧に皆様のお手伝いをさせていただきます。

 

どうぞお気軽にご相談ください。

 

弁護士西田幸広と申します。

 

八代・熊本での相談実務

八代地域は農業・食品加工・建設業など、経営者個人の信用と地元の取引関係で成り立ってきた事業者が多く、後継者不在のまま代表者が高齢化しているケースが目立ちます。自社株の分散や個人保証(経営者保証)の引継ぎは、金融機関との事前の調整が欠かせません。当事務所は八代・熊本で、法務面からの事業承継支援と、第三者承継(M&A)のご相談に対応しています。

なお、自社株評価や事業承継税制の適用可否など税務の判断は税理士の業務です。当事務所は株式の集約・経営者保証・契約や許認可の引継ぎといった法律問題を担当し、税務は連携する税理士が対応します。

こんなときは弁護士へご相談ください

  • 後継者は決まっているが、自社株や個人保証の引継ぎが進まない
  • 後継者が見つからず、第三者への譲渡(M&A)も選択肢に入れたい

ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。

事業承継・M&Aと譲渡案件の情報については、専門サイト「この街の事業承継」でもくわしく解説しています。

お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。

執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2024-09-20 / 最終更新日:2026-09-13

事業承継の資金はどう調達する?融資と保証の考え方|八代の弁護士が解説

事業を次の世代に引き継ぐ際、大きなお金が必要になることがあります。

そんなときに役立つのが、銀行や日本政策金融公庫が提供している「事業承継ローン」という制度です。

このローンを活用することで、事業承継のための資金調達が可能になります。

本稿では、この制度を利用する際のメリットとデメリット、申し込みの流れなど、これから事業承継を考える方々に向けわかりやすく解説していきます。

 

  • 事業承継ローンとは?

事業承継ローンとは、事業を次の人へスムーズに引き継ぐために必要な資金を借りるための特別な支援制度です。

私たちの身近な銀行や国が支援する金融機関から提供されています。

借りることができる金額は、数百万円から場合によっては数千万円にも上り、事業を引き継ぐ際のさまざまな費用に充てることができます。

しかし、多くの中小企業では、将来に備えて十分な資金を準備しているわけではありません。

事業承継のタイミングで資金不足に直面しないように、事前に計画を立て、事業承継ローンを上手に活用することが大切です。

 

  • 事業承継をするメリット・デメリット

事業承継ローンを活用するメリット・デメリットは、以下の通りです。

 

[メリット]

・初期投資

スムーズな資金調達が実現でき、少ない自己資金で事業承継が可能になり、経済的負担を軽減しながら、スムーズに事業を引き継ぐことができる

 

・財務の柔軟性

企業の財務状況を柔軟に保ち、手元に現金を保持することを可能にする

 

・事業継続の安定性

株式の所有比率を安定させ、将来的に他の資金調達をしやすくなるため事業の継続性と安定性が向上する

 

・様々な用途

借りた資金は、新しい機器の購入や新規事業の立ち上げなど、幅広い用途に活用できる

 

・税制のメリット

一部の事業承継ローンでは、税制面で優遇措置があり、税負担を軽減できるため経済的負担が減る

 

・後継者育成の機会

事業承継を行う過程で、後継者に事業運営のノウハウを伝承する機会にもなる

 

[デメリット]

・個人保証のリスク

場合によっては、事業主の家や車などの私物を保証として提供する必要があり、リスクが伴う

 

・余分な出費が発生

借りたお金に対して利息や手数料など追加費用が発生する

 

・審査の難しさ

ローンを申し込む際、事業の健全性や将来性、事業主の信用度などを審査するため、必ずしもローンが承認されるとは限らない

 

・手続きの煩雑さ

ローンの申請から実際にお金を手にするまで、多くの書類の準備や手続きが必要で、時間がかかるため計画が必要である

 

・返済の負担

借りたお金はいずれ返さなければならず、定期的な返済は事業のキャッシュフローに負担をかけることがある

 

  • 事業承継で融資が必要となる理由

事業承継の際に必要となる融資には、具体的に以下のような理由があります。

ここでは、これらの理由3つを分かりやすく解説します。

 

・株式や資産の購入

事業承継では、後継者が会社の株式や事業に必要な資産を購入することが一般的です。

これには大きな資金が必要となり、事業承継ローンを活用してこれらを購入することが可能になります。

例えば、製造業を営む会社であれば、製品を作るための工場や機械が必要です。

これらを購入するためには、通常、大きな一時的な出費が必要となります。

大きな設備や不動産など、高価な資産の取得では、事業承継ローンが役立ちます。

 

・税金の納付

事業承継に伴い、相続税や贈与税が発生することがあります。

これらの税金は、事業規模や承継の方法によって額が大きくなることがあり、適切な資金計画が必要です。

事業承継ローンを活用することで、これらの税金を期限内に支払い、事業の安定を保つことができます。

 

・事業運営資金

事業承継後は、新たな経営体制の下での事業の運営が始まり、日々の運営や将来の展開に向けた資金が必要です。

これには、従業員の給料、材料の購入費、新しい事業の開始費用などが含まれます。

事業承継直後は、これらの資金を確保するための準備期間が限られているため、事業承継ローンが役立ちます。

資金繰りに余裕を持ち、事業のスムーズな運営と成長をサポートすることができます。

資金計画をしっかりと立て、必要なお金を確保することが、事業の持続的な成長や発展につながります。

 

  • 事業承継ローンの種類

事業承継で受けられる融資には、主に以下2つの制度があります。

 

・日本政策金融公庫による融資制度

・銀行など民間金融機関による融資制度

 

これらの制度は、事業承継を支援するために提供されています。

それぞれの特徴については以下の通りです。

 

  • 日本政策金融公庫による融資制度

日本政策金融公庫が提供する「事業承継・集約・活性化支援資金」は、中小企業や個人事業主を対象とした支援策です。

政府が支援しているため、市場のローンよりも低い利率で資金を借りることができます。

これは、新たに事業を継ぐ人が、比較的簡単に必要な資金を手に入れられるよう支援しています。

ただし、支援を受けるためには、事業の将来性や現在の経営状態の健全さ、具体的な事業計画の提出など、一定の条件を満たす必要があります。

 

[利用対象]

1.中期的な事業承継を計画し、経営権を確保したい方

・事業承継計画の策定が必要な方

・経営権の円滑な移行を望む方

 

2.事業の承継や集約に関連する法律に基づいて認定を受けた中小企業者

・経営承継円滑化法に基づく認定を受けた方

 

3.経営者個人保証免除を申し入れ、資金調達が難しい方

・個人保証の免除を申し入れた方で、資金調達に課題がある方

 

4.事業の承継・集約を契機に新たな取り組みを図りたい方

・第二創業や新規事業への展開を考えている方

 

[資金使途]

事業承継等に必要となる設備資金および運転資金

 

[融資限度額]

別枠7,200万円(うち運転資金、4,800万円)

 

[返済期間]

設備資金 20年以内(うち据置期間2年以内)

運転資金 7年以内(うち据置期間2年以内)

 

[利率]

原則 基準金利

ただし、一定の条件に該当する場合には特別金を適用

 

[担保・保証人等]

担保設定の有無、担保の種類などについては要相談

ただし、無担保無保証を希望する場合には、以下の制度を併用できる

・税務申告を2期終えていない方 ・・・新創業融資制度

・政務申告を2期以上終えている方・・・担保を不要とする融資制度、経営者保証免除特例制度

 

  • 銀行など民間金融機関による融資制度

銀行や信用金庫などの民間金融機関も、事業承継に特化したローンを提供しています。

これらのローンは、事業を引き継ぐ後継者が資金を確保するためのものです。

金融機関によって条件は異なりますが、一般的には担保や保証人が不要な場合もあり、比較的審査が通りやすく設定されていることが多く、最大で5000万円までの借り入れが可能で、返済期間は最大10年とされています。

5年や10年の据え置き期間が設けられていることも多く、借りた資金で事業を安定させた後、余裕を持って返済計画を立てることができます。

これらの支援を活用することで、事業承継の時に必要なお金を手に入れやすくなります。

例えば、新しい事業のアイデアを実現したり、会社を大きく成長させるためのお金を用意することができます。

また、返済についても無理なく計画を立てられるため、事業運営に集中できます。

さらに、経営のノウハウや事業を効率的に行うためのアドバイスを得ることも可能であり、事業を安定させ、長期的に成長させるために大切な支援となります。

大切なのは、事業にぴったり合った支援を選び、そこから提供される資金を効果的に活用することです。

これにより、事業承継を成功に導き、会社を長く続けるための強い基盤を築くことができます。

 

  • 事業承継で融資を受ける際の流れ

日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」を利用する場合の基本的な流れは以下の通りです。

 

① 事業承継計画の策定

まずは、自分の事業をどう継承していくか、しっかりとした計画をたてます。

この計画には、高継者の教育や新しい体制の準備、相続税や贈与税に関する税対策など、事業承継に関わるさまざまな内容が含まれます。

計画書には、目標、戦略、行動計画を具体的に記述し、事業の現在の財務状況と将来の財務予測も記載します。

計画をしっかりとたてることで、何をすべきかが明確になり、大切なポイントを把握しやすくなります。

 

② 支店窓口で相談

計画書が完成したら、日本政策金融公庫の支店に行き、担当者に相談します。

このとき、会社の財務状況を示す決算書、会社案内など、具体的な資料を持参すると、承継計画をより詳しく説明することができます。

相談を通じて、資金の具体的な要件や条件を把握することができ、事業承継に向けての準備が整います。

 

③ 融資の申請

窓口での相談後、具体的なローン申請に移ります。

事業計画書、財務諸表、税務申告書、身分証明書など、さまざまな書類が必要になる場合があります。

必要書類を正確かつ詳細に準備し、手続きを進めます。

 

④ 審査

申請書類提出後、金融公庫による審査が行われます。

審査では、提出された書類の内容確認のほか、場合によっては現地調査や追加質問が行われることもあります。

担当者が事業場所を訪問したり、事業の実態や運営状況を直接事業者に直接質問するなど、申請内容の信頼性を評価します。

そのため、事業や計画の内容を十分に理解し、説明できるようにしておくことが大切です。

自分の事業について詳しく説明することで、融資の審査がスムーズに進む可能性が高まります。

 

⑤ 融資決定・貸付契約

審査を通過すると、事業承継ローン貸付契約の手続きに入ります。

具体的な貸付条件が決まり、契約書が作成されます。

ローン額、利率、返済期間、返済スケジュールなどが明確になります。

契約内容をしっかり理解し、同意の上で署名します。

その後、約束された資金が提供され、事業承継資金として活用できます。

 

⑥ 返済開始

ローンを受けた後は、約束された計画に従って返済を開始します。

通常、指定された銀行口座から自動引き落としで行われます。

返済は一般的に、金融公庫との契約に基づいて設定されたスケジュールに従って行われます。

返済計画は事前にしっかりと立てておき、無理のない範囲で計画的に返済を進めることが重要です。

 

以上の流れに沿って、日本政策金融公庫からの事業承継ローンの利用が進められます。

一つひとつ丁寧に進めることで、事業承継に必要な資金を確保し、スムーズな事業承継を実現することができます。

 

  • 事業承継の融資に関するその他の支援制度

審査に通らない場合、融資を受けることができないことがあります。

審査では、事業の信用や返済能力などが評価されます。

万が一審査に通らない場合でも、諦めずに他の方法を探すことが大切です。

融資以外にも、事業承継の資金調達方法はいくつかあります。

その他の支援制度は以下の通りです。

 

・経営承継円滑化法における信用保証

この制度は、中小企業の銀行融資を利用しやすくするため、信用保証協会が融資額の一部を保証します。

つまり、後継者がもし返済できなくなった場合でも、信用保証協会がそのお金を代わりに支払います。

銀行はリスクを少なくして融資を行うことができ、特に資金が少ない後継者でも融資を受けやすくなります。

 

・利用方法

最寄りの信用保証協会に相談して、事業承継計画や財務情報などを提出して申請を行います。

普通保険   [通常枠] 2億円     [別枠] +2億円

無担保保険  [通常枠] 8000万円   [別枠] +8000万円

特別小口保険 [通常枠] 2000万円   [別枠] +2000万円

(参考 https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu/kinyushien_pamphlet.pdf)

 

・事業承継特別保証制度

この特別保証制度は、特に事業承継を目的として設けられており、信用保証協会が融資額のほとんどを保証します。

これにより、後継者が自己資金が少ない場合でも、必要な資金を簡単に確保しやすくなります。

大きな保証があるため、銀行はより安心して融資を行うことができ、後継者は必要な資金を確保しやすくなります。

また、利息が低い場合や返済期間が長く設けられることなど融資条件が改善されます。

 

・利用方法

最寄りの信用保証協会に相談し、事業承継計画や財務情報などをもとに申請を行います。

[利用対象]

次の1又は2に該当し、かつ3に該当する中小企業者

1.保証申し込み受付日から3年以内に事業承継を予定する事業承継計画を有する法人

2.令和2年1月1日から令和7年3月31日までに事業承継を実施した法人であって、事業承継日から3年を経過していないもの

3.次の(1)から(4)までに定めるすべての要件を満たすこと

(1)資産超過であること

(2)EBITDA有利子負債倍率※が10倍以内であること

※EBITDA有利子負債倍率=(借入金・社責-現預金)÷(営業利益+減価売却費)

(3)法人・個人の分離がなされていること

(4)返済緩和している借入金がないこと

 

[資金用途]

事業資金

既存のプロパー借入金(個人保証有)の本制度により借り換えも可

 

[保証限度額]

2億8,000万円

(参考 https://www.zenshinhoren.or.jp/model-case/shokei/)

 

  • 事業承継・引継ぎ補助金

国や地方自治体が提供する補助金で、事業承継にかかる費用の一部を補助します。

例えば、後継者の育成の研修費用や、事業承継に伴う法務・財務の相談、事業承継計画作成のための専門家への相談費用などが対象になることがあります。

補助金は返済の必要がないため、資金の負担を軽減しながら事業承継を進めることができます。

 

・利用方法

補助金の公募情報をチェックし、申請書類を準備します。

事業承継計画を含め、補助金の要件に合致する内容を明確に記載し、指定された期間内に提出します。

申請方法についてわからないことは、事前に問い合わせるか、専門家を活用します。

 

  • 事業相続税制

事業承継に伴う相続税や贈与税の負担を軽減するための税制優遇措置です。

国の承認を受けることで、税金の負担の軽減することが可能になります。

 

・利用方法

専門家の協力を得て、承認を受けられる事業承継計画を作成し、国税局に提出し承認を受けます。

これらの制度を活用する際は、しっかりとした計画と準備が必要不可欠です。

各制度の詳細は、関連機関への問い合わせや、法務・税務の専門家との相談を通じて、最適な支援を受けましょう。

 

  • 事業承継に必要な資金や融資については、お気軽に「この街の事業承継」までご相談下さい。

資金調達の選択は、事業の未来を大きく左右します。

さまざま融資制度がありますが、それぞれに返済義務が伴います。

重要なのは、各制度の特徴をきちんと理解し、条件や返済義務に注意深く目を向け自分の事業にとって最適な方法を慎重に選ぶことです。

法務・税務の専門家としてわかりやすくお伝えします。

熊本で25年、弁護士の西田幸広です。

八代・熊本での相談実務

八代地域は農業・食品加工・建設業など、経営者個人の信用と地元の取引関係で成り立ってきた事業者が多く、後継者不在のまま代表者が高齢化しているケースが目立ちます。自社株の分散や個人保証(経営者保証)の引継ぎは、金融機関との事前の調整が欠かせません。当事務所は八代・熊本で、法務面からの事業承継支援と、第三者承継(M&A)のご相談に対応しています。

なお、自社株評価や事業承継税制の適用可否など税務の判断は税理士の業務です。当事務所は株式の集約・経営者保証・契約や許認可の引継ぎといった法律問題を担当し、税務は連携する税理士が対応します。

こんなときは弁護士へご相談ください

  • 後継者は決まっているが、自社株や個人保証の引継ぎが進まない
  • 後継者が見つからず、第三者への譲渡(M&A)も選択肢に入れたい

ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。

事業承継・M&Aと譲渡案件の情報については、専門サイト「この街の事業承継」でもくわしく解説しています。

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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。

執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2024-08-25 / 最終更新日:2026-09-13

事業承継ファンドとは?活用できる会社の条件|八代の弁護士が解説

多くの中小企業が直面する後継者問題に、新たな解決策として「ファンド」という選択肢があります。

このファンドは、新しい後継者を見つけ出し、企業の継続を支援するため方法で企業は安定した将来へと進むことが可能となります。

しかし、利用する際には、そのメリットやデメリット、選び方に注意が必要です。

本投稿では、事業承継ファンドの基本を、わかりやすく解説します。

 

  • 事業承継ファンドとは

事業承継ファンドは、後継者不在で困る中小企業を支援する制度です。

多くの中小企業が後継者を見つけられずに経営の危機に直面しており、お金を借りることも以前より難しくなっています。

さらに、経営の知識や経験が不足している場合も多いため、ただお金を貸すだけでなく、経営のアドバイスを受けられる事業承継ファンドは大きな助けになります。

このファンドを利用することで、多くの投資家から中小企業は必要な資金を得て、新しい経営者を見つけ、経験豊かな専門家の経営サポートを得ることができます。

事業を次の世代に引き継ぎ、安定した成長を目指すことができるのです。

後継者がいない状況でも企業を守るための「助け合い」の仕組みです。

 

  • 事業承継ファンドが注目されている背景

事業承継ファンドが注目されている背景は以下の通りです。

 

・後継者不在による中小企業の経営危機が増加している中、伝統的な事業承継方法だけでは対応が難しくなっている

・銀行の貸し出し条件が厳しくなり、特に中小企業が資金を集めるのが一層難しくなっている

・経営資源や専門知識の不足が、中小企業の成長機会を制限しており、外部からの支援が求めれている

・経営コンサルティングや専門的なアドバイスという、従来の融資にはない価値を提供している
事業承継ファンドは中小企業にとって成長へ向けた新たな選択肢のひとつとして注目されています。

 

  • 事業承継ファンドとM&Aの違い

事業承継ファンドとM&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)はどちらも成長戦略や会社の未の形を作る大切な手段ですが、その目的や使われ方には大きな違いがあります。

 

[事業承継ファンド]

主に後継者不在による経営危機に直面している中小企業を対象としています。

新たな経営者や事業継承者を見つけること、または現経営者に対する経営支援を行うことを目的として設立されます。

資金提供に加え、経営コンサルティングや専門家によるアドバイス、経営資源の提供など、経営面でのサポートを重視します。

 

[M&A]

会社が市場シェアの拡大やシナジー効果の実現、新しい分野に手を広げたいときに使われます。

成長戦略や競争力強化の一環として実施されることが多いです。

買収、事業部門の売却、合併など様々な手法を含み、財務面での取引が中心となり、買収資金の調達、評価額の算定、交渉、契約締結といった流れです。

 

事業承継ファンドは特に後継者問題を抱える中小企業の支援に焦点を当てており、「後継者を見つけて、スムーズにバトンタッチするためのサポート役」で、

M&Aは戦略的手段であり「力を合わせて、もっと大きく強くなるための手法」です。

 

  • 事業承継ファンドを活用できるケース

事業承継ファンドを活用できる場合は以下の通りです。

 

・親族や社内に後継者候補がいない

家族や会社の中に、会社を継ぐ人が見当たらない場合

事業承継ファンドを活用して、外部から、新しい経営者を探すお手伝いをします。

 

・後継者候補はいるがまだ経験が浅い

後継者がいても、その人がまだ経営に必要なスキルや経験を十分に持っていない場合

事業承継ファンドから派遣される専門家やコンサルタントが、実務のトレーニングや経営戦略など経営のコツを教えるサポートを提供します。

 

・後継者候補に資金力がない

後継者はいるが、事業を引き継ぐための資金が不足している場合

後継者が会社の株式を取得するには相当な資金が必要です。

しかし、後継者の資金力が十分でないケースも少なくありません。

後継者は一旦事業承継ファンドに株式を売却し、その後、ファンドの支援を受けながら資金を積み立てます。

資金が十分に積み立てられた段階で、後継者はファンドから株式を買い戻すことができます。

 

・現在の経営陣に経営を任せたい

現在の経営者が引き続き会社をリードしたいが、支援が必要な場合

現経営者が経営を続けたい場合、複数の支援を提供します。

資金提供だけでなく、経営戦略の見直しや事業効率化などのアドバイスも含まれます。

経営者が会社の運営を続けることを望む場合、ファンドに一部の株式を売却し、経営権を維持しつつ外部からの資金と専門知識を得ることができます。

しかし、経営者は会社の一部所有権をファンドに譲渡する代わりに、経営権を守るために、もう一度、一部の株式に投資する必要があります。

 

  • 事業承継ファンドを活用するメリット

事業承継ファンドを活用すると以下のようなメリットがあります。

メリットの詳しい内容は以下の通りです。

 

・意図に沿った事業承継ができる

経営者やオーナーは、自分の思い描く未来計画に合った形で、会社を次の世代に渡すことができます。

例えば、信頼できる従業員に経営を任せたい、または特定の分野で会社を成長させたいなど、具体的な目標に合わせた承継計画を立てることが可能です。

また、経営者がやりたいこと以外には干渉しません。

会社の文化や思いを大切にしながら、必要なときにだけサポートを受けることができます。

 

・経営支援を受けられる

資金の支援だけでなく、経営の専門家や業界によるコンサルティングサービスを受けることができ、戦略の策定、財務の管理、業務の効率化など、さまざまな側面で手厚い支援が受けられます。

特にご高齢の経営者にとって、このような経営サポートは心理的な負荷を軽減する効果があります。

戦略相談や意思決定のサポートを通じて、経営者は孤立感やストレスを感じることなく、健全な経営を実現することが可能になります。

 

・売却益を得られる

経営者やオーナーは、自分が持つ会社の株式を事業承継ファンドに売却することで、その売却から得られる利益を手に入れることができます。

このお金は、退職後の生活資金や、新たなビジネスへの投資など、自由に使うことができます。

経営者は負担なく事業を受け継ぎ、将来に備えることができるのです。

 

・企業理念・文化を維持できる

ファンドの主な目的は、企業の持続可能な成功を促進し、企業価値を向上させることです。

これは経営者と一緒になって目指す目標です。

長年築いてきた文化や伝統を守り、社員や顧客との絆を維持しながら、これらの価値を守ることに注力します。

この取り組みは、地域社会にも良い影響を及ぼし、長く繁栄するための基盤を築きます。

 

事業承継ファンドを通じて、過去を尊重しつつ安定した環境で成長を続けることができるのです。

 

  • 事業承継ファンドを活用するデメリット

事業承継ファンドを利用する際に考慮すべきデメリットは、以下の通りです。

 

・経営権の部分的な放棄

事業承継ファンドから資金を受け入れることは、一部の経営権をファンドに譲渡することを意味する場合があります。

経営者は自由な意思決定を行う上で制約を受ける可能性があります。

 

・利害関係の複雑性

経営目標や方針においてファンド側の意向を考慮する必要が生じ、経営判断が複雑になる場合があります。

 

・財務負担の増加

ファンドからの資金提供は返済義務を伴うことが多く、利息や配当などの形で将来的に企業の財務負担が増加するリスクがあるため注意する必要があります。

 

・企業文化のずれ

ファンドから派遣される経営支援チームと企業の既存の経営陣との間で、企業文化や価値観の相違が生じることがあります。

 

事業承継ファンドの活用を検討する際には、これらのデメリットを十分に理解し、企業にとって最適な決定を行うことが重要です。

 

  • 事業承継ファンドの主な種類

事業承継ファンドは国内にいくつもあります。

その中でも代表的な事業承継ファンドを紹介します。

 

[中小機構の事業承継ファンド]

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する事業承継ファンドは、公的視点からアドバイス提供をしてくれます。

民間よりも中小企業へのサポートが得意で、新規事業の創業や拡大も積極的に行っています。

中小企業の事業承継や成長支援で特に広く利用されています。

 

[日本投資ファンド]

日本M&Aセンターと日本政策投資銀行が共同設立したファンドは、たくさんの会社の引き継ぎの実績と経験があります。

全国の地域銀行と協力して、地元の会社を支援しています。

審査の難しさも比較的低く、中小企業にとって手軽に相談できる特長があります。

 

[SBI地域事業承継ファンド]

SBI地域事業承継ファンドは、地域の発展を目指し、後継者不足に悩む中小企業への支援を目的としています。

他のファンドとは違い、小さな企業にも投資し、地域経済の活性化を図っています。

これにより、地域の中小企業が持続可能な事業承継を実現できるようサポートしてくれます。

 

[PE(プライベートエクイティ)ファンド]

PE(プライベートエクイティ)ファンドは、日本プライベートエクイティ株式会社が運用する資金です。

中小企業経営者の事業承継問題に苦しむ方を支援し、出資します。

特に、従業員の自立を促進し、オーナー経営から組織経営への移行をサポートするのを得意としています。

PEファンドは、企業の持続的な成長や経営改善を促進し、中小企業を支える重要な仕組みとなっています。

 

  • 自社に適した事業承継ファンドの選び方

自社に最適な事業承継ファンドを選ぶための大切なポイントは以下の通りです。

 

・支援内容や特徴を理解する

事業承継ファンドは、資金提供だけでなく、経営改革、事業拡大、新しい市場への進出など、様々な支援を行います。

ファンドによって、得意とする分野や提供するサービスが異なるため、自社の事業戦略や必要とする支援に合致するファンドを選ぶことが重要です。

たとえば、技術革新が必要な場合は、その分野に強みを持つファンドを選びます。

事業承継ファンドには、「直接投資型」と「貸付型」という2つの主要な形式があり、それぞれが異なる特徴を持っています。

 

[直接投資型ファンド]

ファンドが企業に直接資金を提供し、その企業の一部の株式を取得します。

この方法で、ファンドは企業の経営に一定程度関与することになります。

企業に直接お金を投じ、経営改善や戦略策定の専門的アドバイスを提供し、必要に応じて、新しい経営者を連れてくることもあります。

(直接投資型ファンドは経営に積極的に関わりたい場合や、大規模な変革を目指す企業に適しています)

 

[貸付型ファンド]

ファンドが企業に対して貸し付けを行い、将来的にそのお金を返済してもらう形式です。

この場合、ファンドは企業の株式を取得せず、経営への直接的な関与はありません。

お金の貸し付けに加えて、経営の効率化や改善に関するアドバイスも提供されます。

企業は経営権をそのまま保持しながら、外部からのサポートを受けることができます。

(貸付型は経営権を保持したまま、資金や専門的なサポートを必要とする企業に適しています)

 

・過去の実績を確認する

これまでにどのような企業の事業承継を支援してきたか、その成功事例や実績を調べます。

同業種や類似の経営課題を持つ企業への支援の実績があるファンドは、専門知識や経験が豊富である可能性が高いです。

ファンドの過去の成果や評判を調査することは、そのファンドが自社にとって有益かを判断する上でとても重要です。

特に、類似の業界や規模の企業に対する成功事例があるか、また過程で企業の文化をどのように扱ったか、を確認することが推奨されます。

 

・担当者との相性を見極める

担当者が会社のビジョンや文化を理解し、長期的なパートナーシップを通じて適切なアドバイスを提供できるかが鍵となります。

長期間にわたる関係になるため、会社の文化や価値観に共感し、それに基づいたサポートを受けられるかどうかを見極めます。

また、事業承継では多くの決定が求められるため、担当者との間で迅速かつ柔軟な意思決定が可能であること、そしてスムーズなコミュニケーションが維持できることも重要です。

 

  • 専門家からアドバイスをもらう

事業承継は、法的、財務的、そして経営戦略的な複雑な課題を含むため専門家のサポートが必要不可欠です。

特に重要な理由は以下の通りです。

 

・法的安全の確保

弁護士や法務顧問が、契約書の作成や法的リスクの評価、コンプライアンスの確認を支援し、将来的な法的紛争を未然に防ぎます。

 

・財務・税務の最適化

会計士や税理士は、事業承継に伴う財務構造の再編成や税務戦略を提案し、適切な財務計画により、承継後も企業の財務健全性を保つことができます。

 

・経営戦略の策定

市場の変化や業界トレンドに基づく中長期戦略を、専門家がサポートします。

これにより、承継後も企業の持続的成長が促されます。

専門家からのアドバイスを受けることで、企業と経営者のニーズに合った最適な解決策を見つけ出せます。

事業承継は、単なる経営権の移譲以上のものであり、企業の将来に重大な影響を及ぼすため、専門的な知見の取り入れが必要です。

 

  • 事業承継ファンドを活用した事業承継の流れ

事業承継ファンドを活用した事業承継の流れは以下の通りです。

 

・自社の現状把握

事業承継を進める際、まず自社の現状を把握し、具体的なニーズを明確にします。

後継者不在、資金不足、成長戦略の策定が必要など、様々な課題が考えられます。
・ファンドの種類理解

「直接投資型ファンド」と「貸付型ファンド」の違いを理解し、自社に最適なものを選びます。

直接投資型はファンドが経営に参加し、貸付型は資金提供のみとなります。
・ファンドの選定

いくつかのファンドに連絡を取り、自社の状況を説明してみます。

支援内容、過去の実績、担当者との相性などを見極め、大まかな条件について話し合い、ファンドを選定します。
・初期交渉

選定したファンドと直接会い、基本条件や支援範囲について話し合います。

この段階で予備的な合意に達することが目標です。
・デューデリジェンス

ファンド側が、財務状況、経営状態、市場の位置づけなど、会社のあらゆる側面をチェックします。

この過程で、会社の必要な情報をすべて提供する必要があります。
・契約締結

デューデリジェンスの結果に基づき、資金提供の条件や経営参加への度合いを含む具体的な契約を締結します。
・支援開始

契約に基づき資金が提供され、支援が開始されます。

支援には、資金面だけでなく経営コンサルティングや戦略策定のサポートが含まれることがあります。
・定期的なフォローアップ

ファンドと定期的に進捗状況を共有し、必要に応じて計画の調整を行います。
・ファンドの退出

事業承継の目標が達成され、企業が安定した段階に達したら、ファンドは段階的に企業から撤退します。

貸付型ファンドの場合は全額返済が完了し、直接投資型の場合はファンドが保有する株式を売却して退出します。
このような流れを経て、企業は新たな段階へ安心して進む準備が整い、事業承継ファンドがその重要な支援を提供します。

 

  • 事業承継ファンドを検討される際は、専門家である「この街の事業承継」にご相談下さい

事業承継ファンドについて興味はあるけれども、まだ理解しきれていない部分が多い・・とお感じかもしれません。

 

確かに、この分野は新しく複雑な情報が多く、すぐには理解が難しいかもしれません。

 

新しい領域への一歩は、多くの疑問や不安を伴います。

 

しかし、それは成長への第一歩であるともいえます。
わからないこと、気になることがあれば、どうぞ遠慮なくお尋ねください。

 

最適な事業承継の方法を一緒に見つけ出し、わかりやすく丁寧にご説明することをお約束します。

 

私自身も新しい情報を学び続け、常に最新の知識をお伝えするために努力してまいります。
熊本で20年間、弁護士・司法書士として活動している西田幸広です。

八代・熊本での相談実務

八代地域は農業・食品加工・建設業など、経営者個人の信用と地元の取引関係で成り立ってきた事業者が多く、後継者不在のまま代表者が高齢化しているケースが目立ちます。自社株の分散や個人保証(経営者保証)の引継ぎは、金融機関との事前の調整が欠かせません。当事務所は八代・熊本で、法務面からの事業承継支援と、第三者承継(M&A)のご相談に対応しています。

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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。

執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2024-08-09 / 最終更新日:2026-09-13

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