2026年09月
2026/09/10 10:14|カテゴリー:相続
こんにちは。弁護士法人Si-Lawです。相続が始まってから通帳を確認したら、「亡くなる前後に、親の預金がまとまった金額で引き出されていた」——そんなご相談は少なくありません。今回は、相続で預金が勝手に引き出されていたと分かったときの調べ方と、返還を求める方法について、八代の弁護士が解説します。

相続で「預金を勝手に引き出された」と分かったら
相続では、被相続人の生前に引き出された預金と、亡くなった後に引き出された預金とで、法的な整理が変わります。生前に引き出されて手元に残っていないお金は、そのままでは遺産分割の対象になりにくい一方、引き出した人が自分のために使っていた場合には、他の相続人がその分の返還を求められることがあります。
また、亡くなった後に一部の相続人が引き出した預金は、相続人全員の同意があれば、遺産分割の中で調整できる場合もあります(民法906条の2)。いずれの場合も、感情的なやり取りを先に始めると相手が身構えて資料が出てこなくなることが多いため、まずは事実を静かに固めることが大切です。
まずは取引履歴を取り寄せて事実を固める
出発点は「いつ・いくら・誰が」を客観的な資料で確認することです。相続人であれば、戸籍などの必要書類をそろえて、金融機関に被相続人の過去の取引履歴(入出金明細)の開示を求めることができます。必要書類や保存されている期間、開示できる範囲は金融機関によって異なります。取り寄せた履歴から、生活実態に合わない高額の出金や、亡くなる直前・直後の引き出しを時系列で洗い出していきます。引き出したお金が入院費や介護費など被相続人自身のために使われたのか、それとも別の目的だったのかを確認することが、その後の請求の可否を分けます。

誰に、何を請求できるのか
引き出した人が正当な理由なく自分のために使っていた場合、他の相続人は、自分の相続分に応じて「不当利得の返還」や「損害賠償」を請求できる場合があります。ポイントは、被相続人の生前に引き出されたのか、亡くなった後に引き出されたのかで、法的な整理や必要な資料が変わってくることです。どちらにあたるのか、また誰に対してどのような形で求めるのが適切かは、履歴の内容によって一つひとつ検討する必要があります。
「使い込み」を認めさせるための立証のポイント
引き出した側が「本人に頼まれた」「本人の生活費に使った」と説明することは少なくありません。そこで、出金の時期と被相続人の状態(入院・施設入所・認知症の有無など)を照らし合わせ、本人が自分で引き出せる状況だったのか、使途の説明に無理がないかを丁寧に確認します。診断書や介護記録、施設の資料などが、事実を裏づける重要な手がかりになります。こうした証拠を早めに確保しておくことが、適切な交渉や判断につながります。
時効に注意(八代・熊本での進め方)
預金の使い込みをめぐる請求には期限(消滅時効)があり、根拠となる主張によって年数が異なります。時間が経つほど取引履歴の取得や事実確認が難しくなるため、「おかしいかもしれない」と感じた段階で早めに動くことが大切です。ご家族の誰かが親の通帳や年金を管理していたご家庭では、感情のもつれと絡んで解決が長引きがちです。弁護士が間に入ることで、冷静に事実と法律にもとづいた話し合いがしやすくなります。八代・熊本で相続のお悩みを抱える方は、お早めにご相談ください。
こんなとき弁護士へご相談ください
- 親の通帳を見たら、亡くなる前後に大きな出金があった
- 同居していた相続人が使途を説明してくれない
- 取引履歴の取り寄せ方や、返還を求められるのかを知りたい
ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → ご予約 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝日を除く)です。
お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士法人Si-Law)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事案によって結論は異なります。記載内容は公開時点の法令・実務運用に基づくもので、将来の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。
執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2026-09-10 / 最終更新日:2026-09-10
2026/09/09 08:24|カテゴリー:交通事故
こんにちは。弁護士法人Si-Lawです。
交通事故のけがが治りきらず後遺障害が残ったとき、保険会社から示談金の提示を受けて「逸失利益がこんなに少ないのか」と驚かれる方は少なくありません。逸失利益は示談金の中でも金額が大きくなりやすい項目で、計算の前提が一つ変わるだけで数百万円単位の差が生じることもあります。今回は、保険会社が示した逸失利益が低いのではないかと感じたときに、確認していただきたい3つの点を八代の弁護士が解説します。

逸失利益とは「事故がなければ得られたはずの将来の収入」
逸失利益とは、交通事故で後遺障害が残ったり、亡くなられたりしたことで、将来得られるはずだった収入が失われた分の損害をいいます。治療費や入通院慰謝料が「すでに起きた損害」であるのに対し、逸失利益は「これから先の損害」を今の時点で見積もって請求するものです。
後遺障害の逸失利益は、おおまかにいえば「基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で計算します。ライプニッツ係数とは、将来受け取るはずのお金を前倒しでまとめて受け取るため、その分の利息を差し引く(中間利息を控除する)ための数値です。この3つの要素のどこを低く見積もられているかを確認することが、金額を検討する出発点になります。

確認すべき1点目:基礎収入が実態に合っているか
基礎収入は、原則として事故前年の収入をもとにします。会社員の方であれば源泉徴収票の支払金額が基準になりますが、注意が必要なのは次のような場合です。
まず、事故の前年にたまたま休職や転職があって収入が下がっていた方です。前年の数字だけを機械的に当てはめると実態より低くなるため、複数年の平均や事故直前の月収から算定すべきだと主張していくことになります。次に、自営業や個人事業主の方です。確定申告の所得金額をそのまま使われることが多いのですが、事業を続けるために支出せざるを得ない固定費(家賃や減価償却費など)は、働けなくても出ていく費用として基礎収入に加算すべき場合があります。
また、専業主婦(主夫)の方は「収入がないから逸失利益もない」と説明されることがありますが、家事労働にも経済的な価値が認められており、賃金センサスの女性平均賃金をもとに算定するのが実務の考え方です。学生や若い方についても、平均賃金を用いて算定することがあります。
確認すべき2点目:後遺障害等級と労働能力喪失率
労働能力喪失率は、認定された後遺障害等級に応じて目安が定められています。たとえば14級であれば5%、12級であれば14%が目安です。等級が一つ違うだけで喪失率が大きく変わるため、そもそも認定された等級が症状の実態に合っているかを見直す必要があります。
非該当や想定より低い等級となった場合、異議申立てによって認定が変わることもあります。その際は、後遺障害診断書に自覚症状や検査結果が十分に記載されているか、通院の経過が途切れていないかといった点が重要になります。示談を成立させてしまうと後から争うことは難しくなりますので、等級に納得がいかない段階で示談書にサインしないことが大切です。
確認すべき3点目:労働能力喪失期間が短く区切られていないか
労働能力喪失期間は、原則として症状固定時から67歳までとされています。ところが保険会社の提示では、この期間が短く設定されていることがあります。典型例が、むちうち(頸椎捻挫)で14級9号が認定されたケースで、「5年程度」と区切られることが一般的です。12級13号でも10年程度に制限した提示がなされることがあります。
症状の内容や治療経過によっては、より長い期間を主張できる場合もありますので、提示書の内訳に何年分で計算されているかが書かれているかを必ず確認してください。内訳が示されていないときは、算定根拠の開示を求めることができます。
死亡事故の場合の考え方
亡くなられた場合の逸失利益は、就労可能年数までの収入を基礎に計算しますが、後遺障害の場合と違って「生活費控除」が行われます。ご本人が生きていれば支出したはずの生活費を差し引く考え方で、一家の支柱であれば30〜40%、女性であれば30%程度が目安とされています。扶養している家族が何人いるかによって割合の主張が変わるため、ここも争点になりやすい部分です。
なお、死亡事故では逸失利益のほかに死亡慰謝料や葬儀費用も損害となります。金額が大きくなるぶん、提示額の妥当性を判断するには裁判所が用いる基準との比較が欠かせません。
提示を受けたら、サインの前にご相談ください
保険会社の提示額は、自社の支払基準に沿って算定されたもので、裁判所が用いる基準(いわゆる弁護士基準)とは異なることがあります。弁護士が交渉に入ることで、基礎収入の取り方や喪失期間の設定を見直し、増額につながる場合があります。もっとも、事故の状況や過失割合、後遺障害の内容によって結論は変わりますので、まずは提示書と後遺障害診断書をお持ちいただき、内容を確認するところから始めるのが現実的です。
一度示談が成立すると、原則としてやり直しはできません。金額に疑問を感じた段階でご相談いただくことをおすすめします。
八代・熊本での相談実務
八代市内では国道3号線や南九州自動車道での事故のご相談が多く、通院先が限られる地域では、転院や通院間隔をめぐって保険会社と見解が分かれることがあります。訴訟になった場合は熊本地方裁判所八代支部が管轄となり、示談で終えるか訴訟に進むかで見込める賠償額が変わることもあります。当事務所は八代オフィスを拠点に、地元の医療機関への通院状況を踏まえてご相談を伺っています。
こんなときは弁護士へご相談ください
- 保険会社から提示された賠償額が妥当か分からない
- 治療がまだ必要なのに、保険会社から治療費の打ち切りを告げられた
ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。
お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。
執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2026-09-09 / 最終更新日:2026-09-09
2026/09/08 16:32|カテゴリー:相続
こんにちは。弁護士法人Si-Lawです。「遺産分割がまとまらないまま、相続税の申告期限に間に合わない」というご相談を八代でもよくお受けします。結論から申し上げると、分割が終わっていなくても申告期限は待ってくれません。

遺産分割が終わらなくても、相続税の申告期限10か月は動かない
相続税の申告・納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月です。この期限は遺産分割の進み具合とは無関係で、話し合いが続いていても延びることはありません。

そこで実務では、期限までにいったん法定相続分で取得したものとして申告・納税し、後日分割がまとまった時点で精算する扱いをとります。その際、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えておくかどうかが分かれ目になります。これを出しておかないと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった負担を軽くする制度を、後から使えなくなるおそれがあります。
期限が近いなら、分割の交渉と申告を同時に進める
10か月という期間は、相続人の調査や不動産の評価まで含めると決して長くありません。もめている場合ほど、「分割がまとまってから税のことを考える」と手遅れになりがちです。分割の話し合いは弁護士、申告と税額の計算は税理士、と並行して動かすのが安全です。
なお、当事務所では相続税の申告・税額の計算は連携する税理士が対応し、当事務所は遺産分割・遺留分など法律問題を担当します。話し合いがまとまらない場合の進め方については、遺産分割協議がまとまらないときは?調停までの流れもあわせてご覧ください。
八代・熊本での相談実務
遺産分割の話し合いがまとまらない場合、八代市・氷川町・芦北町などにお住まいの方は熊本家庭裁判所八代支部(八代市西松江城町)が調停の管轄になります。調停は月1回程度のペースで期日が入り、解決までに半年から1年以上かかることも珍しくありません。農地や自社株、空き家となった実家が遺産に含まれるケースは八代地域では特に多く、評価や分け方をめぐって争いが長期化しやすい点に注意が必要です。当事務所は八代オフィスを拠点に、必要に応じて連携する税理士・司法書士とともに対応しています。
こんなときは弁護士へご相談ください
- 相続人の間で話がまとまらず、遺産分割協議が止まっている
- 遺言書が出てきたが、内容に納得できない・有効なのか分からない
ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。
遺産分割・遺言・家族信託については、専門サイト「この街の相続」でもくわしく解説しています。
お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。
執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2026-09-08 / 最終更新日:2026-09-08