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祖父名義のままの土地はどうする?相続人が増えた数次相続の進め方を八代の弁護士が解説

こんにちは。弁護士法人Si-Lawです。「実家の土地を売ろうと思って登記を調べたら、名義がまだ祖父のままだった」——八代や熊本県南地域でのご相談で、いまも数多く出てくるご相談です。祖父名義の土地が放置されたまま、気づけば相続人が10人、20人に膨れ上がっている。そんなときに何から手を付ければよいのかを、実務の順番に沿って整理します。

祖父名義のままの土地について弁護士に相談するご家族のイラスト

なぜ相続人が20人にも増えてしまうのか

名義を変えないまま年月が過ぎると、相続人がねずみ算式に増えていきます。増え方には性質の違う2つのルートがあり、ここを混同すると誰と話し合えばよいのかが分からなくなります。

ひとつは数次相続です。祖父が亡くなって遺産分割をしないうちに、相続人である長男も亡くなった、というケース。長男が持っていた相続人の地位を、今度は長男の妻や子が引き継ぎます。もうひとつは代襲相続で、こちらは祖父より先に長男が亡くなっていた場合に、長男の子(祖父から見た孫)が長男に代わって相続人になるものです。どちらの順番で亡くなったかによって、誰が相続人になるかも、その取り分も変わります。

この二段三段の積み重ねで、3代放置されたケースでは相続人が20人を超えることも珍しくありません。全国に散らばり、一度も会ったことのない親族が含まれるのが通常です。まずは下の流れで、やるべき順番をつかんでください。

祖父名義の土地を動かすまでの流れ

最初の一歩は「誰と協議するのか」を紙の上で確定させること

連絡のつく親族だけで話をまとめても、相続人が1人でも欠けていれば、その遺産分割協議は効力を生じません。後から出てきた相続人に協議のやり直しを求められれば、それまでの労力が無駄になります。ですから、感覚ではなく戸籍で確定させることが出発点です。

具体的には、祖父の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍をすべてそろえ、そこから判明した相続人のうち亡くなっている方についても、同じように出生から死亡までをたどります。本籍が転々としていると、複数の市区町村に郵送で請求を重ねることになり、3代分となれば数十通に及びます。なお、2024年3月から戸籍の広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できる場面が増えました。ただし請求できるのはご本人・配偶者・直系の親族の戸籍に限られ、兄弟姉妹や甥姪といった傍系の戸籍は対象外です。代理人による請求も認められておらず、コンピュータ化されていない古い戸籍も取得できません。数次相続では、結局のところ従来どおり各市区町村へ郵送で請求する場面が多く残ります。

相続人が確定したら、相続関係説明図の形にまとめます。誰が数次相続で、誰が代襲相続なのかが一目で分かる図があると、以後の交渉も家庭裁判所の手続きも格段に進めやすくなります。

相続人が多いとき・連絡がつかないときの進め方

相続人が20人いても、全員が土地を欲しがっているわけではないのが実情です。「使う予定がないので、きちんと管理してくれる人に任せたい」という方が多数を占めるのが通常で、その場合は相続分をお譲りいただく、あるいは代償金をお支払いして持分を集約する方向で協議します。突然の手紙で警戒されないよう、経緯と趣旨を丁寧に説明した書面を送るところから始めます。

協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。ここで誤解されやすいのが管轄で、申立先は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意した家庭裁判所です。ご自身が八代にお住まいでも当然に熊本家庭裁判所八代支部になるわけではなく、相手方が県外に多ければ相手方の地の裁判所になることがあります。もっとも、相続人が各地に散らばる事案では八代支部を含め当事者の合意で決めることもあり、遠方の方が電話会議やウェブ会議で参加できる場合もあります。住所が分からない相続人については、戸籍の附票で住所をたどるのが基本です。それでも所在がつかめないときは、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立て、その管理人を相手に協議を進めます。長期間生死不明であれば失踪宣告を、土地そのものの管理が問題になっていれば所有者不明土地管理命令の利用を検討することもあります。

注意していただきたいのが、相続開始から10年が経過すると、原則として特別受益や寄与分を主張できなくなり、法定相続分による分割が基本となる点です(民法904条の3)。この規律は2023年4月1日施行ですが、施行前に発生していた古い相続には経過措置があり、施行時点ですでに10年が経過している場合でも、施行日から5年間、すなわち2028年3月31日までは主張の余地が残されています。裏を返せば、祖父名義のまま何十年も放置されてきた土地こそ、この猶予の期限が先に来ます。「長年この土地を守り、固定資産税も払ってきたのは自分だ」という言い分を分割に反映させたいのであれば、放置している時間がそのまま不利に働きます。

相続登記の義務化との関係——期限が迫っています

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をする必要があり、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象となります。

見落とされがちなのは、この義務が施行前に起きた相続にもさかのぼって適用されることです。祖父名義のまま何十年も放置してきた土地も対象になります。期限は「施行日」と「相続で取得したことを知った日」のいずれか遅い日から3年以内で、すでに相続を知っていた方であれば2027年3月31日が目安になります。残された時間は多くありません。

とはいえ、相続人が多数にのぼる事案で期限までに遺産分割をまとめきるのが難しいこともあります。そうした場合に備えて相続人申告登記という簡易な手続きが用意されており、自分が相続人である旨を法務局に申し出ておけば、ひとまず義務を履行したものとして扱われます。単独で申し出ることができ、他の相続人の同意も不要です。ただし効果が及ぶのは申し出た本人だけで、これによって他の相続人の義務まで消えるわけではありません。ただしこれは義務違反を避けるための暫定的な措置にすぎず、これだけでは土地を売ったり担保に入れたりすることはできません。最終的には遺産分割をまとめて相続登記まで進める必要があります。

費用と、ご相談いただくタイミング

費用面では、戸籍の取り寄せ費用、不動産の評価資料、登録免許税のほか、調停に進む場合の裁判所費用がかかります。相続人の人数と世代の数によって必要な作業量が変わるため、見通しは初回のご相談時に、判明している範囲の家系図をもとにご説明します。なお、長期間放置された土地については、一定の要件のもとで相続登記の登録免許税が免除される制度が設けられている場合がありますので、個別に確認します。

ご相談のタイミングとして最も多いのは、売却の話が出たときや、農地の耕作を頼んでいた方が高齢になったときです。ただ、実際には「相続人の中に高齢の方がいる」段階でご相談いただくのが理想です。もう一代亡くなれば相続人はさらに増え、判断能力が低下すれば成年後見人の選任が必要になり、手続きは目に見えて重くなります。土地を動かす予定がまだなくても、誰が相続人なのかを今のうちに確定させておくだけで、次の世代の負担は大きく変わります。

八代・熊本での相談実務

遺産分割の話し合いがまとまらない場合、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所が申立先となるため、相続人の多くが八代市・氷川町・芦北町などにお住まいであれば、熊本家庭裁判所八代支部(八代市西松江城町)が調停の場になります。調停は月1回程度のペースで期日が入り、解決までに半年から1年以上かかることも珍しくありません。農地や自社株、空き家となった実家が遺産に含まれるケースは八代地域では特に多く、評価や分け方をめぐって争いが長期化しやすい点に注意が必要です。当事務所は八代オフィスを拠点に、必要に応じて連携する税理士・司法書士とともに対応しています。

こんなときは弁護士へご相談ください

  • 相続人の間で話がまとまらず、遺産分割協議が止まっている
  • 遺言書が出てきたが、内容に納得できない・有効なのか分からない

ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。

遺産分割・遺言・家族信託については、専門サイト「この街の相続」でもくわしく解説しています。

お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。

執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2026-09-14 / 最終更新日:2026-09-14

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