2024/07/26 12:00|カテゴリー:事業承継
築き上げた事業や資産を、次の世代にどう託すか、考えるべき大切な時が来ます。
特に、中小企業、家族で経営している会社の場合、その事業をしっかりと引き継ぐことは、大きな課題であり、同時に大きな責任も伴います。
本投稿では、計画をどのように立て、対策をどのように講じるべきか、その重要性と具体的な方法について詳しく解説します。
相続対策としての事業承継は、大切な会社を家族や次の世代に安心して渡すための方法です。
具体的には、以下の3つの方法があります。
■生前の贈与
経営者が元気なうちに、会社の株や財産をお子様やお孫さんなど家族に渡す方法です。
この方法を利用すれば、事前に家族に会社の運営を学んでもらう機会も作れます。
■相続
経営者が亡くなられた後、法律に従って家族に会社や財産が引き継がれる方法です。
遺言書などを事前に準備しておくことで、スムーズな引き継ぎが可能になります。
■売却
会社を他の事業者や第三者に売り、その代金を受け取る方法です。
家族内に適切な後継者がいない場合に選ばれます。
親族内事業承継 ・・・親から、子や親せきに事業を引き継ぐ方法
親族外事業承継 ・・・家族以外の会社の人が事業を引き継ぐ方法
第三者承継(M&A)・・家族や従業員ではなく、外部の別の会社や人に引き継ぐ方法
事業承継と相続は大きな違いがあります。
事業承継は、経営者が引退する際に、自分の会社を次の世代に引き継ぐことです。
これは、会社がこれからも続いていくために、しっかりとした計画に基づいて行われるものです。
一方で、相続は人が亡くなったあとに、その人の持っていたお金や家などの財産を、家族や指定された人たちに分けることです。
この財産の分配は、法律に従って行われます。
事業承継は「会社のための計画的な行動」であり、相続は「亡くなった人の財産を基づいて適切に実施する手続き」です。
■メリット
事業承継を相続対策として進める際のメリットは、以下の通りです。
・後継者育成
十分な時間をかけて後継者に会社運営を教育でき、将来を安心して託せる
・トラブル回避
計画的な手続きにより、家族や相続人間での争いを未然に防ぐことができる
・相続税の節約
適切な承継計画により、相続税の負担を軽減する
・会社の安定
計画的に事業承継を行うことで、会社の将来が安定し、長期的な成長が期待できる
・周りの理解を得る
社員や取引先、銀行など、周りからの理解を得ることで、支援が得やすくなる
■デメリット
事業承継を相続対策として進める際の考えられる5つのデメリットは、以下の通りです。
・手続きの複雑さ
事業承継に関する税制は理解しにくい部分が多く、細かなルールや要件を把握する必要がある
・財務的リスク
計画が後になって無効とされた場合、追加で利息などの費用負担が生じる可能性がある
・要件の厳格さ
事業承継の税の規則は非常に細かく設定されており、すべてを満たすのが難しいことがある
・継続的な遵守の必要性
事業を引き継いだ後も、特定の条件をずっと守り続けなければならず、管理の負担が大きくなる
・家族間の意見の違い
承継計画を立てたり実行したりする過程で、家族内で意見が対立することがあり、トラブルの原因になることもある
以上が相続対策として事業承継をするメリット、デメリットとなります。
相続の際に会社をスムーズに引き継ぐためには、生前の準備がとても大切です。
■遺言書の作成
特に、遺言書の作成は生前対策の重要な一歩となります。
遺言書を作成することで、事業の後継者や株式の取り扱い方を具体的に指示することが可能になります。
また、住宅や預金など、個人の財産の取り扱いに関しても決めることができます。
遺言書には、自筆で書くもの、公証人の助けを借りるもの、秘密を守りたい時のものと、3つの種類があります。
それぞれの書き方を簡単に説明します。
・自筆証書遺言
この遺言はご自分で全文を手書きして、最後に署名と押印をします。
紙とペンがあれば自宅で作成でき、費用はかかりません。
ただし、書き方に不明瞭な点があると、後で家族間でのトラブルの原因になることもありますので、言葉選びには十分に注意しましょう。
・公正証書遺言
公証人立ち会いのもと、遺言者の意志を確認しながら、公証人がそれを正式な文書まとめます。
少し時間と費用がかかりますが、公証人が関わることで、法的にも強い効力を持ち、正しく保管され、将来的なトラブルのリスクが低くなります。
・秘密証書遺言
内容を秘密にしたい場合、遺言の内容を書いた紙を封筒に入れ、その封筒を公証人と証人の前で封をします。
この時に「これは私の遺言です」と宣言します。
手続きが少し複雑であり、内容は後で初めて知られるため、予期しない解釈がされることもあります。
自筆証書遺言書 ・・・遺言者自身が文書を作成し署名・押印し作成する
公正証書遺言書 ・・・遺言者の真意や意思を公証人が確認し、立ち会って作成される
秘密証書遺言書 ・・・遺言内容を他人に知られることなく残すことができる
遺言書を作る際には、自分の意志をはっきりと伝えることが大切です。
どの方法を選ぶかは、ご自身の状況や希望によって異なります。
遺言書がないと、事業承継の際に予期せぬ困難に直面することがあります。
遺産分割協議は、故人の財産をどう分けるか家族や相続人が決める大切な場です。
遺言書が存在すれば、相続における争いを避け、故人の意志を尊重することができるのです。
しかし、遺言書がなければ、家族間での意見の不一致が生じやすく、結果として合意に達しない場合、裁判所の介入が必要になることもあります。
調停や裁判を通じた時間と費用の負担、さらには家族関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
進展せず、調停や審判でトラブルが生じた場合、裁判所の判断で遺産分割審判に進むこともあります。
会社を次の世代に継承するため、後継者育成は欠かせません。
新しい知識は外部研修で学び、様々な部署で業務経験を積むことで理論と実践の両方を学びます。
また、経験豊かな先輩社員からの直接指導やプロジェクトでのリーダーシップ経験を通じ、実践的な能力を身に付けます。
知識や経験が後継者を支え、自信を持って事業を引き継ぐことができるようになります。
会社運営で銀行からお金を借りる際、経営者が「自分の財産を保証や担保」とすることがよくあります。
しかし、経営者が変わる際には、この保証や担保をどう扱うかを考えなければなりません。
後継者が、大きな負担を背負うことなく、会社を運営できるように生前から計画しておく必要があります。
例えば、経営者が退職するときにもらう退職金を使って借金を返すことも一つの方法です。
経営者は自分が持つ会社の株を、後継者に生前に渡すことができます。
これを「自社株の生前贈与」と呼びます。
税金のかからない範囲内で毎年少しずつ株を移していくことにより、会社の経営を円滑に引き継ぐ手助けをします。
この方法で、株を段階的に渡すことで、後継者は追加で負担を感じることなく経営のための準備を進められます。
さらに、贈与税の猶予や免除制度を適用することで、税額を大きく減らすことが可能ですが、これには一定の条件があります。
【自社株の生前贈与に関する税額猶予や免除の条件】
自社株の生前贈与には、税金を少しでもお得にするための特別な条件があります。
主なポイントは以下の通りです。
・後継者の条件
後継者になる方が、会社で長く働いている、あるいは重要な役職に就いているなど、一定の条件を満たしている必要があります。
これは、会社をしっかりと支える力があることを示すためです。
・事業を続ける期間
例えば5年や10年といった一定期間、会社の経営に関わり続けなければなりません。
この期間中に経営から手を引いたり、株式を売却したりすると、税額猶予や免除の特典が失われることがあります。
・会社の規模
贈与される株が、ある程度の大きさを持つ会社に関係している必要があります。
これは、経済にとって重要な会社を支えるための措置です。
・株式の割合
会社の経営に大きく関わる割合の株式を受け取ることです。
例えば、会社の半分以上の株を受け取るなど、経営に影響を与えるレベルでの贈与が対象となります。
上手く利用することで、会社を家族に引き継ぐ際の負担を軽減できるかもしれません。
しかし、地域によって細かな点が異なるため、具体的な条件や適用の可能性については専門家に相談しましょう。
経営者は会社の株を他者に売ることで、会社の所有権を新しい持ち主に移すことができます。
会社内で誰がどれくらいの株を持つかを変えたり、新しい人に会社の経営を任せたり、会社の運営や成長のためにお金を集めたりするために行います。
株の売買は契約に基づいて行われ、売り手は株を買い手に渡します。
この取引から得たお金は相続財産に含まれず、相続人の遺留分からも除外されます。
しかし、株を受け取る後継者は、「株を買うための資金」を用意する必要があり、必要な金額や資金の調達方法を計画し、適切な準備を行うことが重要です。
相続税対策には、以下のような方法があります。
・贈与を活用
毎年決まった金額までなら、贈与税がかかりません。
生前に家族に少しずつ資産を渡すことで、将来の税負担を少しずつ軽減できます。
・信託を利用
資産を信託という形で専門家に託し、管理してもらう方法です。
資産の日々の管理が楽になるだけでなく、専門的な管理によって税金の負担も軽くなる可能性があります。
・法律を学ぶ
税制は変わることがあります。
新しい税制の情報を得て変更点をしっかりと把握し、特に大きな税制改正があった年には、その内容を確認し、無駄な税金を払わないようにしましょう。
・専門家に相談
税金の問題は複雑です。
自分や家族、事業の状況に合わせた最適な対策を立てるために、税務や法律の専門家に相談することが賢明です。
事業承継税制は、会社を家族の次の世代に渡すときの税金を少なくするための制度です。
会社を引き継ぐときには贈与税や相続税が必要ですが、この制度を使うと税金の負担が軽減されます。
条件を満たすと税金の一部が軽減や免除になることがあります。
しかし、この制度にはいくつか注意点があります。
経営者や後継者の方は、よく理解し、しっかり検討する必要があります。
この制度は少し難しい部分もありますが、税金を減らす大きなメリットがあるため、ぜひ活用を考えてみましょう。
事業承継税制の特例措置は、経営者が会社を後継者に渡す際の税金負担を減らすためのものです。
2018年の税制改正で、この制度がさらに強化され、納税猶予の割合が100%にまで引き上げられました。
納税猶予の割合とは、税金の支払いを後で行うことができる割合のことです。
これは、後継者は引き継いだ事業にかかる税金の全額を将来的に支払うことができるということを意味し、事業承継の際の経済的負担を大きく軽減しています。
【事業承継税制の特例措置と一般措置の比較】
特例措置
事前の計画策定等 ・・・特例継承計画の提出[平成30年4月1日から令和6年3月31日まで]
適用期限 ・・・次の期間の贈与・相続等[平成30年1月1日から令和9年12月31日まで]
対象株数 ・・・全株式
納税猶予割合 ・・・100%
承継パターン ・・・複数の株主から最大3人の後継者
雇用確保要件 ・・・弾力化(P4・P8)
事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除 ・・・あり(P9)
相続時精算課税の適用 ・・・60歳以上の者から18歳以上の者への贈与
一般措置
事前の計画策定等 ・・・不要
適用期限 ・・・なし
対象株数 ・・・総株式数の最大3分の2まで
納税猶予割合 ・・・贈与:100% 相続:80%
承継パターン ・・・複数の株主から1人の後継者
雇用確保要件 ・・・承継後5年間 平均8割の雇用維持が必要
事業の継続が困難な 事由が生じた場合の免除 ・・・なし
相続時精算課税の適用 ・・・60歳以上の者から18歳以上の推定 相続人(直系卑属)・孫への贈与
[参考 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-133_01.pdf ]
政府の税制改正により、後継者の負担が軽減され、事業継承が円滑化されることが期待されます。
事業承継税制の特例措置を利用するための先代経営者と後継者が満たすべき要件は、以下の通りです。
■先代経営者が満たすべき要件
・会社の代表取締役を経験したことがある
・贈与又は相続の直前に会社の筆頭株主であった
・贈与後において代表取締役ではない
■後継者が満たすべき要件
・贈与を受ける時に会社の代表取締役になっている
・贈与又は相続を受けることにより、会社の筆頭株主になる
【特例承認計画の準備】
・特例承認計画
相続が発生する前に、事業をどのように継続・発展させるかについての計画を立てます。
この計画には、事業の将来に関する戦略や方針が含まれます。
提出先:都道府県庁
【事業承継税制の申請と認定】
・事業承継税制の申請
相続が始まった後、8ヶ月以内に特例措置を受けるための申請を行います。
この申請には、特例承認計画と相続の証明書が必要です。
※8ヶ月を超えると申請が受け付けられないため期限を守ります
提出先:都道府県庁
・認定書の交付
都道府県庁で申請が審査され、特例措置が認められれば【特例承認の認定書】が交付されます。
この認定書は、次の手続きである相続税申告の際に必要です。
・相続税申告書の提出
認定書をもとに、相続税の申告書を作成します。
(【特例承認の認定書】のコピーも添付)
提出先:税務署
・納税猶予の申告
税金を後で支払うことを希望する場合、納税猶予の申告を行い、税金と利子税に見合う担保を用意する必要があります。
提出先:税務署
納税猶予の条件や必要な担保については確認しましょう。
【特例措置の継続手続き】
・年次報告書の提出
特例措置を受けている状況をまとめた報告書を作成します。
過去1年間にどのような特例措置を利用したか、その結果どのような影響があったかを記載します。
提出先:都道府県庁
毎年、決められた期限までに提出する必要があり、この期限は地域によって異なる場合があるので確認します。
・継続届出書の提出(初期の5年間)
特例措置をこれからも続けていきたいという意志を伝える書類を作成します。
継続して特例措置を受けたい理由や、特例措置によってどのような計画を持っているかを記載します。
提出先:税務署
特例措置を申請した日から数えて5年間は、毎年同じ期間に提出します。
・継続届出書の更新(5年経過後)
5年ごとに、継続届出書を新しく作成します。
更新の際には過去の活動内容や、今後の計画を反映させます。
提出先:税務署
初めの5年間が終わった後、次の更新は3年ごとになります。
最後に継続届出書を提出した日から数えて3年ごとが更新のタイミングです。
これらの手続きを進める時には、書類が正しく記入されているか、提出期限をきちんと守れているかなど、慎重にチェックしましょう。
また、書類はコピーをとって保管しておきます。
相続時精算課税制度は、生前に家族に贈ったものが、相続の際に税金の計算に入るという制度です。
この制度を使うと、生前の贈与に対してすぐに贈与税を払う必要がなくなりますが、相続が起こった際には、これまでに贈ったもの全てが相続税の計算に含まれるようになります。
2018年の改正で、この制度は強化され、贈与したものに対する税金を後で全額支払えるようになりました。
しかし、この制度を選ぶことで、毎年の贈与にかかる税金を分散させる「暦年課税」の節税効果を使えなくなります。
これは、生前に行った贈与が贈与税の対象から外れる代わりに、相続時に全額が相続税計算に入るためです。
相続時精算課税制度を活用する際には、将来の税負担を考えながら、どれくらいの贈与をし、どのように財産を分けるかをよく考える必要があります。
専門家に相談して、家族への贈与額や財産の分配を慎重に考え、最適な方法を見つけましょう。
相続時精算課税制度 ・・・生前の贈与をすべて相続税に含めて後でまとめて税金を払う制度
暦年課税(※1) ・・・毎年の贈与に対してその年ごとに税金を払う制度
※1 暦年課税とは、1年の間(1月1日から12月31日まで)にもらった贈与の合計が、110万円を超えた時に、その超えた分に税金を払うという制度です。
例えば、親から子へ毎年110万円以下の贈与の場合は、贈与税は発生しません。
経営者が自身に大きな生命保険をかけ、会社が受取人となるようにすると、経営者が亡くなった際に保険金が会社に支払われます。
この保険金で会社のお金が増えると、会社の価値が適切に保たれ、株価にも影響を与えることがあります。
会社の未来を考えて、税金をできるだけ少なくする方法をお考えの場合、税金の取り扱いや法的な影響をしっかり理解することが大切です。
また、退職金の支払条件や時期、保険契約の詳細は複雑であり、適切な計画と準備が必要不可欠です。
税務や法律の専門家に相談し、会社としても個人としても最適な対策を立てましょう。
相続で事業を引き継ぐ際に、特に会社が相続財産の大きな部分を占めている場合、すべてを一人の後継者に渡すと、他の家族が受け取るべき遺留分が足りなくなることがありますこのような場合、家族間で意見の相違が生じ、争いの原因になることがあります。
遺留分とは、家族が法律によって保証された最低限の財産の割合のことを指します。
これには子どもや配偶者などが含まれます。
このような問題を避けるためには、事前にしっかりと計画を立て、家族全員でよく話し合うことが大切です。
経営承継円滑化法の特例は、長年会社を守ってきた経営者が、子どもや他の後継者に安心して会社を託せるよう支援する法律です。
この法律を利用すると、経営者が会社を引き継ぐ人を決めた時、その他の相続人に対しても公平に対応できるようにサポートしてくれます。
会社を引き継がない家族にも、適切な形で配慮をすることができるのです。
さらに、会社の価値や税金に関する特別な措置も提供しており、会社をスムーズに引き継ぎながら、経済的な負担も軽くすることが可能になります。
【経営承継円滑化法の特例の種類】
・除外合意
相続人同士で話し合い、特定の財産(例えば、会社の株式)を相続の範囲から除外する合意を行います。
この合意によって、会社を引き継ぐ方に直接株式を渡せるため、相続における複雑な問題を回避できます。
・固定合意
会社を成長させた後継者の努力による価値の増加分は、相続財産の評価から除外されます。
これは、後継者の頑張りを認め、その熱意を維持するための配慮であり、後継者が公平な評価を受け、遺留分計算の際に不利にならないようにします。
・附随合意
遺言や財産分配の契約に基づいて、事業承継に特化した取り決めを行います。
これにより、将来のトラブルを防ぎ、すべての合意が矛盾なく一致していることを確認します。
経営承継円滑化法の特例を賢く活用することで、家族間のトラブルを回避することができます。
不明な点や複雑な手続きは、税務や法律の専門家を活用しましょう。
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相続・事業承継対策でお悩みの際は、この街の事業承継までお気軽にご相談下さい。
相続や事業承継のことでお悩みでしたら、専門の弁護士にご相談ください。
早めに準備をすることで税金の節約はもちろん、法的な面でのメリットを最大限に活かすことが可能になります。
近年、早期に準備を始める方々が増えているのは、相続税対策の重要性が広く認識されているからです。
現役経営者としてご活躍の中、将来へ安心した準備を進められるよう弁護士の西田幸広が丁寧にご説明いたします。
八代・熊本での相談実務
八代地域は農業・食品加工・建設業など、経営者個人の信用と地元の取引関係で成り立ってきた事業者が多く、後継者不在のまま代表者が高齢化しているケースが目立ちます。自社株の分散や個人保証(経営者保証)の引継ぎは、金融機関との事前の調整が欠かせません。当事務所は八代・熊本で、法務面からの事業承継支援と、第三者承継(M&A)のご相談に対応しています。

なお、自社株評価や事業承継税制の適用可否など税務の判断は税理士の業務です。当事務所は株式の集約・経営者保証・契約や許認可の引継ぎといった法律問題を担当し、税務は連携する税理士が対応します。
こんなときは弁護士へご相談ください
- 後継者は決まっているが、自社株や個人保証の引継ぎが進まない
- 後継者が見つからず、第三者への譲渡(M&A)も選択肢に入れたい
ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。
事業承継・M&Aと譲渡案件の情報については、専門サイト「この街の事業承継」でもくわしく解説しています。
お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。
執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2024-07-26 / 最終更新日:2026-09-13
2024/07/19 12:00|カテゴリー:事業承継
日本の町を元気にしているのは、個々のお店や事業を営む人たちです。
地域社会にとって不可欠な存在で、暮らしを支えてくれています。
しかし、事業を次世代に引き継ぐことは難しく、後継者不足は深刻です。
多くの事業主が直面するこの事業承継の課題について、次の世代に事業を引き継ぐ方法や、必要な手続き、そして税金のことなど、個人事業主の方向けにわかりやすく解説していきます。
個人事業主が経営している事業を、今の持ち主から新しい持ち主へと渡すことを意味します。
事業の運営に関わる権利、必要な資源、そして資産の全てが、承継の際に新しい経営者へと渡されることになります。
■経営権
事業をどうやって動かしていくか、どんな決定をするかという「決める力」のこと
■経営資源
事業をスムーズに運営するために必要なお金や情報、人などのこと
■物的資産
お店や事務所、機械や在庫品など、目に見える形のあるもの
■個人事業主
個人が自分の責任の下、事業を運営している状態
自分が事業の顔となり、自分と事業は一体で、事業のリスクは全て個人の責任になります。
■法人
法律に基づいて独立した組織
会社は個人とは別に権利や義務が発生し、会社が決めたことは、会社自身の責任になります。
(例:株式会社や有限会社)
個人事業主の事業承継方法には【売買(M&A)】【贈与】【相続】の3つがあります。
■売買(M&A)
事業を他の人に譲渡し、その対価としてお金を受け取る方法です。
これにより、新しい経営者によって事業が継続されます。
■贈与
事業を引き継ぐときにお金を受け取らずに、家族や信頼できる人に譲る方法です。
家族内での事業引継ぎや、家族外の信頼できる人によって事業が継続されます。
家族間での事業の引き継ぎによく使われます。
家族内での承継と、家族外への承継の2種類があります。
・親族内事業承継・・・家族や親族に事業を引き継ぐこと
家族で次の世代へと事業を続けていく方法です。
例えば、お父さんが自分のお店を子どもに渡す場合などがこれにあたります。
・親族外事業承継・・・家族以外の第三者に事業を引き継ぐこと
家族に後継者がいない場合や、事業が特定の技術を持つ人によってより良く運営されると考えられる時に選ばれる方法です。
例えば、事業を専門の管理者や他の企業に譲渡する場合などがこれにあたります。
贈与には税金の面で注意が必要で、特に大きな事業を渡す場合には「贈与税」が発生する可能性があります。
■相続
事業主様が亡くなられた際に、遺言によって事業が家族や相続人に引き継がれる方法。
遺言がない場合は、故人の財産を相続人間で分け合う「遺産分割協議」が必要となります。
個人事業主が事業承継を進める際には、後継者選びと廃業届出から税務調整に至るまでの各種手続きが重要です。
信頼できる人を選び、必要な書類をしっかりと提出し、慎重に進めましょう。
■現経営者が行う廃業の手続き
1.後継者を決める
事業を引き継ぐ人を決めます。
家族、信頼できる従業員、または外部の第三者が該当するかもしれません。
2.廃業を知らせる
地方自治体、商工会議所に伝え、商号の登録を抹消します。
青色申告をしていた場合は、その取りやめの手続きも必要です。
3.必要な書類
税務署には「廃業届」、商工会議所には「事業廃止届」を提出します。
4.納税調整
事業を終了することで、予定していた「所得税」や「復興特別所得税の納税額」を減額する申請を行います。
5.従業員関連
従業員を雇用していた場合は、労働局に「給与支払事務所の廃止届」を提出します。
これら一つ一つ丁寧に進めることで、現経営者は事業の正式な終了を各関係機関に通知します。
手続きでわからないことがあれば、専門家に相談しましょう。
■後継者が行う開業の手続き
1.開業届の提出
地方税事務所や商工会議所に新しい事業を始めることを伝えるため「開業届」を提出します。
2.所得税青色申告承認申請
税金のお得な制度「青色申告」を利用するため「青色申告承認申請書」に必要事項を記入して税務署へ提出します。
3.専従者給与届出
家族がビジネスを手伝ってくれる場合は「専従者給与届出書」に家族の情報を記入し、税務署へ提出します。
4.消費税課税事業者選択届出
商品やサービスを販売して消費税の納付が必要な場合は「消費税課税事業者選択届出書」を国税局に提出して、消費税の納税者であること伝えます。
5.簡易課税制度選択届出
消費税の計算を簡単にする簡易課税制度を利用する場合は、「選択届」を国税局へ提出します。
■必要に応じて行う追加の手続き
・許認可手続き
ある特定の事業の場合、その業種に応じた許認可が必要になることがあります。関連する機関に確認し、手続きを行います。
・従業員・取引先の引継ぎ
前の経営者から従業員や取引先を引き継ぐ場合、必要な情報を聞き、手続きを行います。
これら一つ一つ慎重に進めることで、新しい事業がより確実なものになります。
手続きでわからないことがあれば、専門家に相談しましょう。
事業承継をする際、その方法によっては先代経営者や後継者に税金がかかる場合があります。
■贈与税
経営者が生きている間に、事業や財産を家族や他人に無償で渡した場合にかかる税金です。
贈与された財産の価値が一定額以上であれば、後継者が支払います。
■相続税
経営者が亡くなった後、株式などの財産を親族が受け継ぐときにかかる税金です。
相続した財産の価値が法定の基準を超える場合、相続人や後継者が支払います。
■所得税
M&Aで売買によって事業承継が行われた際、得た利益に対してかかる税金です。
現在の経営者が支払います。
■消費税
課税売上高が1,000万円を越える消費税課税事業者である場合、事業承継でかかる税金です。
事業承継の方法によって納税の内容が異なります。
・生前に事業を引き継ぐ場合
先代の経営者は廃業するまでの売上に対して消費税を支払います。
後継者は、最初の2年間は消費税の納税義務が基本的にはありません。
・相続で事業を引き継ぐ場合
先代の売上も後継者が引き継ぐため、その売上に加えて新しい売上に対しても消費税を支払います。
(先代の売上高+後継者の売上高に対して消費税が課せられる)
これら税金については、個々の状況によって詳細が異なるため、具体的な手続きや金額を知りたい場合は、専門家に相談しましょう。
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個人事業主の事業承継で節税対策として活用できる制度
事業承継に伴う税金の負担は経営者に大きな影響を与える可能性がありますが、節税対策の制度を十分に理解し活用することで、安心して進めることができます。
■相続時精算課税制度
60歳以上の親や祖父母が18歳以上の子や孫に贈与する際、2,500万円までの贈与に対して贈与税が免除される制度
親から子への事業の早期承継が可能となり、初期段階での税負担が軽減されます。
■税務署に申告する必要書類
・贈与税申告書:贈与された物やお金の情報とその価値を記載した申告書のこと
・相続時精算課税選択届出:贈与税免除(もらったものに税金をかけないようにする特別な制度)を利用するため、届け出のこと
・関係証明書類:贈ってくれた人ともらった人が、法律上の家族関係にあることを示す戸籍謄本など
この制度を利用した贈与は最終的には相続税の対象となりますので、将来的な税負担について考慮する必要があります。
また、一度この制度を選択すると後で取り消すことはできないため、慎重に決定しましょう。
■小規模宅地等の特例
被相続人が使用していた宅地や事業用地400平方メートルまでの土地について、課税価額の80%を減額できる制度
相続税の負担を大きく軽減することができます。
1.土地の種類や利用状況に関する情報
対象となる土地が住宅用地、事業用地など、どの種類に該当するかを明確にし
現在の利用状況を確認します
2.相続人の資格
土地を相続する人が、法的に相続人としての資格があるかを確認します
■税務署に申告する必要書類
・相続税申告書の提出:亡くなった方が残した財産について、どんなものがあって、それぞれどれくらいの価値があるのかをまとめた公式の書類
1.土地評価証明書
相続する土地がどれくらいの価値があるかを示す公式の書類
2.相続関係証明書類の提出
亡くなった方と相続人が法律上の家族関係にあることを示す、戸籍謄本など
3.土地利用計画書の提出
相続する土地をこれからどのように使っていくか、その計画を示した書類(必要な場合)
土地の種類や利用状況、そして相続人の条件によって異なる要件を満たさなければならないため、事前に必ず確認しましょう。
■個人版事業承継税制
要件を満たした後継者が、2028年12月31日までに贈与や相続によって特定事業用資産を取得した場合、納税の猶予を受けることができる制度
贈与税や相続税に関する直接的な支出を遅らせることができ、資金繰りに余裕を持たせることが可能です。
1.個人事業承継計画を作成
事業の将来の方向性や後継者の選定、資金計画などを具体的に計画し、必要な書類や手続きについても確認します
2.作成した計画を都道府県に提出
提出先を事前に確認し、作成した計画書と必要書類をまとめ、都道府県に提出します
3.都道府県からの認定を受ける
都道府県が提出された計画を審査し、承認すると公的な認定を受けることができます
認定を受けることで、税制優遇措置の適用が可能となります。
しかし、もし承継後に要件を満たさなくなった場合は、猶予されていた税金と、その利息を支払わなければいけないので注意が必要です。
個人事業主向けと法人向けにそれぞれ用意されている事業承継税制には、いくつかの違いがあります。
■法人向け事業承継税制
・対象者
会社を他の人や他の会社に渡したいと考えている経営者の方々
例えば、会社を経営してきた社長が引退を考え、自社を別の企業に売却したい場合に該当します。
・法人税の減税措置
会社を引き継いだ時の税負担が通常より少なくなる可能性があります
・注意点
単に資産を売却するのではなく、会社の運営をしっかりと続けていくことが条件です
法人向け事業承継税制は、経営者が会社をスムーズに引き継げるよう税負担を軽減する支援制度です。
この制度は、家族だけでなく外部の人や他の会社にも会社を渡すことが可能です。
■個人向け事業承継税制
・対象者
自分のお店や仕事を家族に引き継ぎたいと考えている個人事業主の方々
例えば、お父さんが自分のお店や仕事を家族やこどもに譲りたい場合に該当します
・税額免除
贈与や相続による事業用資産の移転する時、最初2年間は特別に税金がかからないようになります
・注意点
一度この制度を利用すると、後からの変更はできません。そのため、将来の税負担についても事前によく検討する必要があります
個人向け事業承継税制は、家族内での事業引継ぎを経済的負担なくスムーズに行えるよう支援する制度です。
【法人版】
・事前の計画策定
5年以内の特例承継計画の提出[2018年4月1日~2023年3月31日まで]
・適用期限
10年以内の贈与・相続等[2018年1月1日~2027年12月31日まで]
・対象資産
非上場株式等
・納税猶予割合
100%
・承継パターン
複数の株主から最大3人の後継者
・贈与要件
一定数以上の株式等を贈与すること[※一定数とは、後継者一人の場合、原則2/3以上など]
・雇用確保要件
あり[特例措置は弾力化]
・経営へ環境変化に対応した減免等
あり
・円滑化法認定の有効期限
最初の申告期限の翌日から5年間
【個人版】
・事前の計画策定
5年以内の個人事業承継計画の提出[2019年4月1日~2024年3月31日まで]
・適用期限
10年以内の贈与・相続等[2019年1月1日~2028年12月31日まで]
・対象資産
特定事業用資産
・納税猶予割合
100%
・承継パターン
原則、先代一人から後継者一人[※一定の場合、同一成型親族等からも可]
・贈与要件
その事業に係る特定事業用資産のすべてを贈与すること
・雇用確保要件
雇用要件なし
・経営へ環境変化に対応した減免等
あり[※後継者が重度障害等の場合は免除]
・円滑化法認定の有効期限
最初の認定の翌日から2年間
税制の違いを理解し、最適な方法を見つけ、事業承継時の税金負担を軽減するためには、手続きや条件の詳細について専門家に相談しましょう。
中小企業庁が提供する「事業承継・引継ぎ補助金」は、次の世代に事業を引き継ぐ際の費用負担を軽減する制度です。
■対象
【中小企業や個人事業主で、次の世代に事業を引き継ぎたい方】
具体的には、お店や会社を後継者に引き渡したいと考えている方々です。
■支援内容
・ 最新の機械やシステムを導入するための費用
・新しい経営者や従業員が必要なスキルを学ぶための費用
・お店や施設を改装、新しい装置を入れるための費用
・新しいお客さんを呼ぶために広告を打つための費用
・法律のアドバイスやビジネスの戦略を考える、弁護士やコンサルタントに相談するための費用
■申請条件
申請するには、まず自分の事業がこの制度の対象かどうかを確認しましょう。
■補助金計画
補助金をどのように使うかの計画を作成し、提出します
■提出先
通常は地域の中小企業庁や関連する支援センターになります。
補助金の詳細や申請手続きについては、中小企業庁のウェブサイトで確認できます。
疑問や不明点があれば、地域のサポートセンターや専門家に相談してみましょう。
個人事業主と法人では、承継方法に違いがあります。
■法人の事業承継
株式譲渡:会社の「株」というものを新しい人に渡します。
手続きがシンプルで、事業全体を迅速に引き継ぐことができます。
■個人事業主の事業承継
承継方法:「売買(M&A)」「贈与」「相続」の3つの方法があります。
具体的にどの資産をどう引き継ぐか、細かく決めていく必要があります。
■注意すべきポイント
1.資産と負債の承継
事業の財産だけでなく、借金や負債も引き継ぐことになります。
どの財産をどのように引き継ぎ、負債はどう扱うか慎重に考え、決定します。
2.事業譲渡の税務
事業を引き継いだ後に発生する利益に対する税金や、引き継がれた資産に関する税務処理など、税金に関する問題は複雑です。
これらを正しく理解し、適切に対応するために、税務に関する専門家の助言を聞くことでリスクをさけます。
3.負債の取り扱い
事業の継続に影響を及ぼす可能性のある負債については、特に注意が必要です。
負債をどのように管理し、将来的にどう対応するかを慎重に計画しましょう。
個人事業主の引き継ぎは、細かい計算や計画が必要ですが、適切な準備をすれば安心して進めることができます。
専門家としっかりとした計画を立てて、事業承継の手続きを進めましょう。
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個人事業主の方で事業承継をご検討中なら、お気軽に「この街の事業承継」までご相談下さい。
経営者が会社の将来を決めるとき、二つの主な選択肢があります。
一つは事業の廃業で、これは事業の終了を意味します。
もう一つは事業承継で、自分が築き上げた価値ある事業を次の世代に託すことができます。
廃業は一つの終わりを告げますが、「承継」は、築いた事業の価値を次の世代に引き継ぐことができます。
中小企業庁は、日本経済の大きな柱である中小企業や個人事業主が事業をスムーズに引き継げるように、様々な支援制度を提供しています。
事業承継を検討している個人事業主は年々増えています。
その背景は、一生懸命に築き上げた事業を次の世代に繋ぎたいという共通の願いからです。
どんな質問にも、わかりやすくお答えします。地元熊本で25年間、弁護士の西田幸広です。
八代・熊本での相談実務
八代地域は農業・食品加工・建設業など、経営者個人の信用と地元の取引関係で成り立ってきた事業者が多く、後継者不在のまま代表者が高齢化しているケースが目立ちます。自社株の分散や個人保証(経営者保証)の引継ぎは、金融機関との事前の調整が欠かせません。当事務所は八代・熊本で、法務面からの事業承継支援と、第三者承継(M&A)のご相談に対応しています。

なお、自社株評価や事業承継税制の適用可否など税務の判断は税理士の業務です。当事務所は株式の集約・経営者保証・契約や許認可の引継ぎといった法律問題を担当し、税務は連携する税理士が対応します。
こんなときは弁護士へご相談ください
- 後継者は決まっているが、自社株や個人保証の引継ぎが進まない
- 後継者が見つからず、第三者への譲渡(M&A)も選択肢に入れたい
ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。
事業承継・M&Aと譲渡案件の情報については、専門サイト「この街の事業承継」でもくわしく解説しています。
お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。
執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2024-07-19 / 最終更新日:2026-09-13
2024/07/12 12:00|カテゴリー:事業承継
日本では、約99%の会社が中小企業です。
これには小規模な個人事業主も含まれており、日本経済における役割はとても大きいです。
しかし、経営者の高齢化、後継者が見つからないという問題が深刻です。
これからの日本経済を支えるためには、中小企業を次世代にしっかりと引き継いでいかなければいけません。
本編では、事業承継の課題と、それを乗り越え、成功に導くためのポイントについて解説します。
中小企業の事業承継がうまくいかず、廃業が増加しています。
これには様々な理由があります。
経営者が高齢になり、後継者が見つからない場合、会社を閉じることになります。
その結果、会社がこれまでに培ってきた貴重な技術や知識、独自の商品が失われ、働いている人たちも職場を失います。
廃業が続けば、日本の経済も次第に弱まってしまいます。
価値ある財産を次の世代に引き継ぐことの重要性を、もっと考えていく必要があります。
会社を次世代に引き継ぐためには、適切な後継者の育成が欠かせません。
しかし、多くの中小企業では、このような長期的な人材育成に必要な時間が不足しがちです。
会社を引継ぐ人を育てるのは簡単ではありません。
早めに計画を立て、十分な余裕をもち、後継者の育成を進めることが重要なのです。
中小企業では、経営者が全ての重要な決定を行うことが一般的ですが、このワンマン経営は事業承継の計画を立てる時間が不足する原因になります。
経営者が事業承継に対して積極的に関心を持たない場合、次世代への引き継ぎについて十分に検討する機会が減少し、経営の交代時に適切な対策ができず、市場の変動に柔軟に対応できないリスクを高める可能性があります。
しかし、これらのリスクは、意見交換や対話、積極的なコミュニケーションにより軽減することができるのです。
事業承継とは、現在の経営者が会社を次の人に引き継ぐことで、主に3つの方法があります。
一つ目は家族内で事業を引き継ぐこと
「親族内承継 親から、子や親戚に事業を引き継ぐ方法」
二つ目は会社の従業員に引き継ぐこと
「親族外承継(企業内承継) 家族以外の会社の人が事業を引き継ぐ方法」
三つ目は外部の誰かに事業を売ったり譲ったりすること
「第三者承継(M&A) 家族や従業員ではなく、外部の別の会社や人に引き継ぐ方法」
家族や従業員に後継者がいない場合でも、M&Aを通じて第三者に事業を引き継ぐことができます。
■M&A(合併・買収)
一つの会社が別の会社と合併する、または会社を買収すること
M&A(合併と買収)という用語は、最近ではニュースなどでよく目にするようになりましたが、多くの人が思い浮かべるのは、大企業同士の巨額な取引です。
そのため、中小企業の経営者の中にはM&Aは考えたことがない、という方もたくさんいらっしゃると思います。
でも、実は中小企業の間でもM&Aはどんどん増えていて、毎年3,000件から4,000件もの取引があります。M&Aはお互いの強みを活かし、新しい可能性を開き、事業の持続を支える重要な選択肢です。
一方で、かつては一般的だった家族内での事業承継は、少子高齢化や後継者不足といった社会的な要因により減少傾向にあります。
M&Aによる事業承継のメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
■後継者問題の解決
現在では少子化やライフスタイルの変化もあり、親族内では後継者が見つからないとうケースが多く見られます。
社内外の広く多くの人材の中から後継者を選ぶことが可能になります。
■従業員の雇用維持
会社を廃業してしまうと従業員は職を失ってしまいますが、会社が廃業されず事業が継続されるため、従業員は会社を辞める必要はなく、雇用が継続されます。
■経営資源の継承
技術・ノウハウ・商品・サービスといった経営に必要な資源をそのまま引き継ぐことができます。
ゼロから新規に事業を立ち上げることと比べると、リスクも抑えられます。
■創業者利益の確保
創業者が経営する会社の株式を譲渡して得られる利益が創業者利益です。
会社の経営状況や規模によっては大きな金額にもなり得ることから、事業拡大や会社経営の上でのモチベーションの1つとなります。
M&Aによる事業承継のデメリットとして、次のようなことが挙げられます。
■理想の引き継ぎ先が見つかりにくい
自分の会社を引き継いでほしいと思っても、すぐにやりたいという人を見つけるのは難しいかもしれません。
特に、自分が望む条件を満たす相手を探すのは簡単ではありません。
■働く環境の変化
従業員の勤務地が変わることがあって、その結果、通勤時間が長くなったりすることがあります。
また、新しい管理者のもとで、これまでとは違った仕事の仕方を求められることもあり、職場の雰囲気が変わることがあります。
■従業員の労働条件の変更
従業員の仕事の条件や環境が変わることがあって、新しい状況に慣れる必要が出てきます。
中小企業が事業を次の世代に引き継ぐときの流れは次の通りです。
■現状と課題の確認
自分の会社がどんな状態にあるか、どんな問題があるかをしっかりと見極めます。
会社がうまく売れるかどうかもこの時に調べます。
会社の状態を知ることが、これからの計画を立てる第一歩になります。
■事業承継の計画作りと相手探し
会社の現状と課題がわかったら、次は事業承継の計画を立てます。
これから数年間の経営計画の中に、いつ事業を引き継ぐか、どんな問題があるか、どう対処するかなどを考えます。
この計画をしっかり作ることが、スムーズな事業承継へとつながります。
同時に、事業を引き継いでくれる相手も探し始めます。
■経営の改善
事業を引き継ぐ前に、会社の経営状態をより良くしておくことも大切です。
お金の管理をもっとしっかりする、組織をうまくまとめるなど、事業承継後も会社がうまくいくように準備します。
■事業承継・M&Aの実行
すべての準備が整ったら、実際にM&Aを行います。
このとき、契約の手続きや税金の問題など、細かいところにも注意が必要です。
複雑な部分が多くあり、法務や税務などの面で深い知識が求められます。
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中小企業が事業承継を行う際の注意点
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【後継者と古参社員の対立】
新しい社員が新たなアイデアを持ち込むとき、長年勤める社員は慎重な姿勢になることがあります。
これは特に、社長が代わり世代交代の際に見られる現象です。
しかし、互いの考えを尊重し、世代間の違いを乗り越えて協力することで、会社は新しい成長を遂げることができるのです。
事業を引き継ぐとき、会社が借りているお金(負債)や、社長が個人的に保証している契約も一緒に受け継がれることがあります。
前の社長さんが「会社がお金を返せなくなったら、私が払います。」と約束していたことも含まれます。
これらをしっかりと把握し、どう対処するか計画を立てることで会社を健全に成長させることができます。
後継者としっかりと話し合い、円滑に事業を引き継げるように準備しましょう。
事業を引き継ぐとき、後継者以外にも相続権を持つ家族がいる場合、遺留分の問題でトラブルが生じることがあります。
■相続権:家族の中に「自分にも権利がある」と主張する人が出てくるかもしれないこと
家族が遺産として会社の一部を欲しいと言うこともある
■遺留分:法律で定められた相続人が最低限受け取れる遺産の割合のこと
遺言で全てを後継者に渡すとしても、他の相続人には一定の割合で遺産を受け取る権利がある
特に、相続人が株式の遺留分を主張すると、株式が相続人に分配され、経営の一体感が損なわれ、後継者の経営権に影響が出ることがあります。
このリスクを避けるためには、早めの計画と相続人とのコミュニケーションが必要です。
専門家の助言を得ながら、相続問題を未然に防ぎ、家族全員が納得する解決策を見つけましょう。
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中小企業の事業承継を成功に導くための大切な4つのポイント
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【早い段階から準備する】
事業承継の成功に向け、十分な準備期間を確保することです。
後継者を見つけ、その人を育て、仕事のノウハウを伝え、業務を引き継ぐまでには、少なくとも5年から10年が必要です。
できれば60歳頃から事業承継を考えはじめましょう。
早めに考え、早めに計画を立てることで、事業の引き継ぎを円滑に進めることができます。
事業承継の成功に向け、会社をよりいい状態にすることです。
引継ぎを考えたら、まず経営や財務の状況をしっかり把握します。
その上で、会社をもっと魅力的にするための取り組みを考え、会社の価値を向上させる取り組みを行いましょう。
会社の魅力を高め、会社の良さを伝えることで、事業の引き継ぎを成功させる土台が作られます。
事業承継の成功に向け、周囲の理解を得ること。
引継ぎをはじめるとき、従業員や取引先、株主、相続人など関係者が理解し協力することです。
特に相続人が複数いる場合は、トラブルのリスクが高まりますので、慎重に対処する必要があります。
「なぜ事業承継を行うのか」「次の社長をどう選ぶのか」を説明し、情報の共有とコミュニケーションを重視することで、安心して事業の引き継ぎをスタートすることができます。
事業承継の成功に向け、専門家の話を聞くことです。
引継ぎの際に、法的な課題や財務上の問題、相続のトラブルなど、予期せぬ問題が起きた場合、それが会社に大きな影響を及ぼすことがあります。
リスクを避けるために、専門家に相談して、これらの問題を適切に管理しましょう。
会社が大きなトラブルに巻き込まれることがないよう、リスクを減らしながら事業の引き継ぎ進めるのが安全で賢い選択です。
事業承継支援制度は、経営者の高齢化や後継者不足などによる事業の継続性の問題に対処するため、中小企業庁によって設けられた制度です。
全国の47都道府県には、事業承継やM&Aに関する公的支援機関「事業承継・引継ぎ支援センター」があります。
これらは中小企業庁が設立したもので、中小企業や小規模事業者の事業承継を支援しています。
不安や心配事、わからないことを無料で相談できる窓口です。
小さな疑問や問題も、ここで専門家のアドバイスを受けることにより、安心して事業承継を進めることが可能になるでしょう。
「中小M&Aガイドライン」と「中小M&Aハンドブック」は中小企業庁によって、中小企業の持続可能な成長と事業承継を支援する目的で近年に発表されました。
・対象:主に中小企業の経営者や後継者
・目的:事業承継や他社との合併・買収(M&A)の際に生じるリスクを減らし、スムーズな取引を支援すること
企業価値の適正評価、効果的な交渉方法、そして公平かつ効率的な取引を実現するための具体的なアドバイスが、経営者や後継者の課題解決に役立ちます。
■公的支援機関:政府や地方自治体によって設置された組織
個人や企業が直面する様々な課題の解決にサポートしている
災害支援、雇用創出、産業振興など、幅広い分野が含まれる
■中小企業庁:中小企業や小規模事業者のサポートを目的とする政府の機関
資金調達、技術革新、事業承継など、中小企業が直面する様々な課題に対する支援を行っている
中小企業庁は、日本の経済産業省の一部である
■事業承継・引継ぎ補助金:中小企業の事業承継を支援するための補助金制度
この補助金は、事業を後継者に引き継ぐ際に、資金的な支援を受けることができます。
後継者の育成や経営継承に関連する費用を一部支援します。
■事業承継・引継ぎ補助金の専門家
税理士や弁護士、事業承継コンサルタントなど
補助金の申請方法や条件は少し複雑ですが、専門家のアドバイスを受けることで、活用のポイントを理解しやすくなります。
■M&A支援機関登録制度:企業の合併や買収を支援する専門家が登録された制度
登録された専門家は、買収候補の選定や評価、交渉や契約の作成まで、各段階で専門的な支援します。
成功に向けた戦略的なアドバイスや専門知識を持ち、リスクを最小限に抑えながら価値を最大化するためのサポートを行います。
■M&A支援機関登録制度の専門家
弁護士や会計士、投資銀行家、M&Aアドバイザーなど
税務や法務、経営戦略などの分野で、豊富な知識と経験を持つ専門家と連携しましょう。
事業承継税制と経営資源集約化税制は、日本経済における企業の持続的な成長と活力を支えるための重要な税制策です。
■事業承継税制
事業承継税制は、贈与税や相続税の特例措置を通じて、事業の世代交代時に発生する税負担を軽減します。
実際に、家族経営の会社がこの税制を利用して事業を子供に無税で移転し、企業は新たな世代のもとで成長を遂げました。
この制度により、後継者がスムーズに事業を引き継ぐことができ、中小企業の閉鎖や廃業のリスクを減少させます。
■経営資源集約化税制
経営資源集約化税制は、事業が合併や事業を再編する際の税負担を軽減するための特別措置です。
「会社を合併したり、事業の部門を整理したりする時に、税金の負担を軽減してくれる制度」と簡単に言えます。
実際に、中小企業のグループがこの税制を活用して、税負担を軽減し、会社の組織を見直し、事業を効率的に再編しました。
その結果、仕事の効率が向上し、より良いサービスを提供できるようになりました。
この制度により、企業は経営資源をより効率的に配置し直すことが促進され、市場での競争力の向上、経営の効率化、新規事業投資や市場拡大への積極的な投資が可能となります。
これらの税制策は、企業の大切な節目に税の負担を軽減し、強力な支援を提供します。
税制策は複雑ですが、適切な専門家と協力し、最大限に活用しましょう。
日本政策金融公庫は、国が運営する公的支援機関で、事業を営む方々や新しく事業を始めたい方々に向けてお金を貸し出しています。
利息が低く、返済期間も長いため、経済的負担を軽減しながら事業を進めることが可能です。
さらに、信用保証を利用すれば、民間銀行と異なり保証人や担保が不要なケースもあり、手続きがスムーズになります。
また万が一、返済が困難になった場合も、一定の国の保証があるので、スタートアップや事業拡大を安心して安心して事業に取り組めるようにしています。
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「この街の事業承継」は地域の中小企業の事業承継をサポートいたします。まずはお気軽にご相談下さい。
事業承継って、多くの疑問や不安を抱えるものです。
法律に関すること、株の分け方、税金の問題
…「何が正解なのか、どうすればいいんだ?」と悩ませることがたくさんあると思います。
事業承継、簡単じゃない。でも、争いごとは避けたい。
だからこそ、しっかり計画を立てて、問題が起きないようにしておくことが大切です。
争いは防ぐことができるのです。
株の分け方を決めておくこと。
会社の価値をしっかり評価しておくこと。
税金をなるべく少なくする方法を考えておくこと。
これら全てが、スムーズな事業承継のためには必要です。
安心して次の世代に引き継がれるように
一つ一つの疑問に寄り添い、私、弁護士の西田幸広がわかりやすく解説します。
八代・熊本での相談実務
八代地域は農業・食品加工・建設業など、経営者個人の信用と地元の取引関係で成り立ってきた事業者が多く、後継者不在のまま代表者が高齢化しているケースが目立ちます。自社株の分散や個人保証(経営者保証)の引継ぎは、金融機関との事前の調整が欠かせません。当事務所は八代・熊本で、法務面からの事業承継支援と、第三者承継(M&A)のご相談に対応しています。

なお、自社株評価や事業承継税制の適用可否など税務の判断は税理士の業務です。当事務所は株式の集約・経営者保証・契約や許認可の引継ぎといった法律問題を担当し、税務は連携する税理士が対応します。
こんなときは弁護士へご相談ください
- 後継者は決まっているが、自社株や個人保証の引継ぎが進まない
- 後継者が見つからず、第三者への譲渡(M&A)も選択肢に入れたい
ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。
事業承継・M&Aと譲渡案件の情報については、専門サイト「この街の事業承継」でもくわしく解説しています。
お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。
執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2024-07-12 / 最終更新日:2026-09-13