専業主婦でも休業損害はもらえる?計算方法といつ支払われるかを八代の弁護士が解説
2026/10/14 10:48|カテゴリー:交通事故
こんにちは。弁護士法人Si-Lawです。交通事故でケガをされた専業主婦の方から、「私は収入がないので休業損害はもらえませんよね」というご相談をよくいただきます。結論から申し上げると、専業主婦(主夫)の方でも休業損害は認められるのが実務の考え方です。ところが、保険会社から届く示談案を拝見すると、主婦の休業損害が一切計上されていなかったり、きわめて短い日数しか認められていなかったりすることがあります。この記事では、主婦の休業損害が認められる理由、計算方法、そして「いつもらえるのか」という支払時期まで、八代で交通事故のご相談をお受けしている弁護士の立場から整理します。

専業主婦でも休業損害が認められる理由
休業損害は「事故のケガで働けなかったことによる収入の減少」を補うものです。そう聞くと給与所得者だけの話に思えますが、家事労働も、他人にお願いすれば対価を支払わなければならない労働であり、金銭に見積もることができる、と扱われています。そのため、現実の収入がない専業主婦の方でも、家事ができなかった期間について休業損害を請求できます。主婦 休業損害 認められるのか、という疑問への答えは「認められる。ただし、支障の中身を説明できるかで金額が変わる」ということになります。

注意が必要なのは、給与所得者であれば勤務先が作成する「休業損害証明書」で欠勤日数を証明できるのに対し、主婦の方にはその書類が存在しないという点です。証明する手段がないために、保険会社の提示では主婦の休業損害が落ちてしまう、あるいは争点になりやすいのです。
休業損害の計算方法と日額の考え方
休業損害は「1日あたりの基礎収入(日額)×休業日数」で計算します。主婦の方の日額は、賃金センサスという国の統計のうち、女性労働者の全年齢平均賃金を基礎として算定するのが一般的な考え方です。近年の平均賃金はおおむね年400万円前後で推移しており、これを365日で割ると日額は1万円前後となります。
一方、自賠責保険の基準では、休業損害は原則として1日6,100円(2020年4月1日以降に発生した事故の場合)で計算され、実際の収入等を立証できる場合でも1日1万9,000円が上限とされています。保険会社の提示額が自賠責基準に近い水準にとどまっているケースは珍しくなく、賃金センサスを基礎とした金額との差がそのまま受け取る額の差になります。
休業日数についても考え方があります。主婦の方は入院期間を除けば完全に家事を休むわけではなく、痛みをこらえながら少しずつ家事を再開されることが多いため、実務では、通院の実日数を目安にしたり、ケガの回復に合わせて「最初の1か月は100%、次の1か月は50%」というように支障の割合を段階的に下げて計算したりする方法がとられます。どの計算方法を使うかで総額が変わりますので、提示された示談案の内訳を確認することが大切です。
有給休暇・兼業主婦・入院中の家族の世話はどうなる?
よくいただくご質問を整理します。まず、パートに出ている兼業主婦の方は、パート収入を基礎とした休業損害と、賃金センサスによる主婦としての休業損害のうち、金額が高くなる方で計算するのが一般的です。パート収入が少ないからといって低い方で計算しなければならないわけではありません。
次に、勤務先を休む際に有給休暇を使った場合です。有給を使えば給与は減りませんが、本来は自由に使えたはずの休暇を事故のために消費したことになりますので、有給を取得した日についても休業損害を請求できると考えられています。給与明細上の減額がないことを理由に請求をあきらめる必要はありません。
小さなお子さんや要介護のご家族がいて家事の負担が大きい場合、その事情は休業損害の金額を検討するうえで重要です。家族構成や、事故前にご自身が担っていた家事の範囲を具体的に説明できるようにしておくとよいでしょう。
休業損害はいつもらえる?示談前に受け取る方法
休業損害を含む賠償金は、治療が終了(完治または症状固定)し、示談が成立した後にまとめて支払われるのが原則です。治療が長引けば、受け取りは事故から半年、1年先になることもあります。
生活への影響が大きい場合は、示談を待たずに受け取る方法を検討します。一つは、加害者側の任意保険会社に内払い(先払い)を求める方法です。応じてもらえることもありますが、過失割合に争いがある事案などでは断られることもあります。断られた場合には、自賠責保険への被害者請求により、傷害分(治療費・慰謝料・休業損害などの合計で120万円が上限)の範囲で先に受け取る方法があります。ご自身やご家族が加入している人身傷害保険を先に使うという選択肢もあります。どの順番で使うかによって最終的な受取総額が変わることがありますので、使う前にご確認ください。くわしくは人身傷害保険は先に使うべき?自賠責との違いをご覧ください。
書類がそろってからの支払い自体は、多くの保険会社で数営業日から1か月程度とされています。遅れる原因の多くは社内処理ではなく、必要書類の不足や、休業の必要性についての確認にあります。
主婦の休業損害で損をしないための備え
主婦の方の休業損害は、「どれだけ家事ができなかったか」を示す資料が決め手になります。通院の記録に加えて、できなかった家事の内容を簡単な日記やカレンダーに書き留めておく、家事代行や配食を利用したのであればその領収証を保管しておく、といった備えが役に立ちます。医師に痛みの程度や家事への支障を具体的に伝え、カルテに残してもらうことも大切です。
八代・熊本では、通院先が限られることや、お仕事やご家族の都合で通院の間隔が空きやすいという事情があります。通院の回数が少ないと、保険会社から「家事に大きな支障はなかったのでは」と指摘されやすくなりますので、治療の必要性を医師と相談しながら、無理のない範囲で通院を継続することをおすすめします。通院先の選び方については交通事故で整骨院に通っても大丈夫?慰謝料で損しない通い方もあわせてご覧ください。なお、ご自身やご家族の自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、費用の負担を抑えて依頼できる場合があります(交通事故で弁護士に頼むと費用はいくら?)。
示談案に署名してしまうと、後から休業損害を追加で請求することは難しくなります。提示された内訳に休業損害が入っていない、または日数が実態と合わないと感じたときは、署名の前にご相談ください。
八代・熊本での相談実務
八代市内では国道3号線や南九州自動車道での事故のご相談が多く、通院先が限られる地域では、転院や通院間隔をめぐって保険会社と見解が分かれることがあります。訴訟になった場合は熊本地方裁判所八代支部が管轄となり、示談で終えるか訴訟に進むかで見込める賠償額が変わることもあります。当事務所は八代オフィスを拠点に、地元の医療機関への通院状況を踏まえてご相談を伺っています。
こんなときは弁護士へご相談ください
- 保険会社から提示された賠償額が妥当か分からない
- 治療がまだ必要なのに、保険会社から治療費の打ち切りを告げられた
ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。
お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。
執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2026-10-14 / 最終更新日:2026-10-14

