後遺障害は事前認定と被害者請求のどちらで申請する?違いと選び方を八代の弁護士が解説
2026/10/15 09:36|カテゴリー:交通事故
こんにちは。弁護士法人Si-Lawです。交通事故のけがが治りきらず、医師から症状固定と言われると、次は後遺障害の等級申請に進みます。このとき申請のやり方には「事前認定」と「被害者請求」の2つがあり、どちらを選ぶかで、出せる資料も、お金が手元に入る時期も変わってきます。この記事では、後遺障害の事前認定と被害者請求の違い、そして選び方の目安を、八代の弁護士が解説します。

後遺障害の申請には2つのルートがある
後遺障害の等級は、相手の保険会社が決めるわけでも、主治医が決めるわけでもありません。提出された資料をもとに、損害保険料率算出機構という第三者機関が判断します。等級を判断する側が同じである以上、違ってくるのは「誰が、どんな資料を揃えて出すか」という入口の部分です。
相手方の任意保険会社に手続きを任せるのが事前認定、被害者ご本人が相手方の自賠責保険会社へ直接請求するのが被害者請求です。等級そのものの基準は共通ですが、出す資料の中身をこちらで決められるかどうかが、実務では大きな差になります。

事前認定のしくみ ― 手間は少ないが中身が見えない
事前認定では、被害者の方が用意するのは、主治医に書いてもらった後遺障害診断書と、医療記録を取り寄せるための同意書くらいです。あとは相手方の任意保険会社が診断書や画像を集め、まとめて申請してくれます。手間がかからず、費用の持ち出しもほとんどありません。
一方で、何がどう提出されたのかをこちらで確認できないという弱点があります。申請するのは、賠償金を支払う立場にある相手方の保険会社です。こちらの症状を積極的に補強する資料を足してくれることは、通常は期待できません。また、認定が出ても、その時点ではお金は動かず、示談がまとまって初めてまとめて支払われます。
被害者請求のしくみ ― 資料を足せて、先に受け取れる
被害者請求は、自動車損害賠償保障法16条にもとづき、被害者が相手方の自賠責保険会社へ直接請求する方法です。支払請求書、後遺障害診断書、交通事故証明書、診療報酬明細書、画像、印鑑証明書などを自分で集めて提出します。書類の数は多く、取り寄せに数週間かかることもあります。
手間の代わりに得られるのが、提出資料をこちらで組み立てられることです。可動域の検査結果、神経学的検査の所見、主治医の意見書、症状の経過を記したメモなど、等級の判断に関係する資料を足して出せます。さらに、等級が認定されると、示談を待たずに自賠責保険金の部分だけを先に受け取れます。14級なら75万円、12級なら224万円が自賠責の上限額です(上限額であり、必ずこの額になるという意味ではありません)。治療が長引いて家計が苦しいときには、この先払いが支えになります。
どちらを選ぶか ― 分かれ目は「等級が争いになりそうか」
骨折の変形やプレート固定のように、画像を見れば誰が見ても分かる後遺症であれば、事前認定でも結論はあまり変わりません。手間を減らすという選択には十分な理由があります。
反対に、むちうちによる首や腰の痛み、しびれのように、画像にはっきり写らない症状は、資料の作り方で結論が分かれやすい領域です。こうした事案では、被害者請求を選び、検査結果や経過の記録を添えて出すことをお勧めしています。早く手元資金が必要な場合、相手方の保険会社とすでに対立している場合も、被害者請求が向いています。症状固定の時期やその後の流れについては、症状固定と言われたら治療は終わり?その後の流れもあわせてご覧ください。
むちうちで14級を目指すときに整えておくこと
むちうちで問題になるのは、14級9号や12級13号です。申請の直前になって慌てても間に合わないことが多く、治療中の積み重ねがそのまま結果に出ます。事故直後から受診していること、通院の間隔が空きすぎていないこと、痛みやしびれの出る場所が診療録の中で一貫していること。この3点は、治療中からご自身で守れる部分です。通院の期間や頻度の考え方は、むちうちは何か月通院できる?後遺障害14級の目安で詳しく説明しています。
後遺障害診断書も、様式の欄を埋めれば足りるというものではありません。自覚症状の欄が「頸部痛」の一語で終わっていると、日常生活にどう響いているのかが伝わらないままになります。何をするときにどの程度つらいのかを、受診の際に具体的にお伝えください。
非該当だったとき ― 異議申立てという手続き
結果が非該当、あるいは想定より低い等級だった場合、同じ機構に対して異議申立てができます。回数に制限はありませんが、前回と同じ資料を出し直しても結論は変わりません。足りなかった検査を受ける、主治医から医学的意見をもらうなど、新しい材料を用意することが必要です。
なお、事前認定で非該当になった後に、被害者請求で資料を足して申し立て直すこともできます。ただし、治療終了から時間が経つほど検査を受け直しにくくなります。結果に納得がいかないときは、早めにご相談いただくほうが打てる手が多く残ります。
ご相談のタイミングと費用の目安
ご相談いただく時期としては、症状固定と言われる少し前、後遺障害診断書を書いてもらう前がもっとも適しています。診断書を出してしまった後では、書き直しをお願いしにくくなるためです。当事務所の法律相談は1時間11,000円(税込)、超過30分ごとに5,500円(税込)を申し受けます。ご加入の自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、保険会社が費用を負担する扱いになる場合がありますので、保険証券をご確認ください。特約の使い方は交通事故で弁護士に頼むと費用はいくら?弁護士費用特約の使い方にまとめています。等級認定のしくみ全体については後遺障害等級は誰が決める?申請の流れもご参照ください。
八代・熊本での相談実務
八代市内では国道3号線や南九州自動車道での事故のご相談が多く、通院先が限られる地域では、転院や通院間隔をめぐって保険会社と見解が分かれることがあります。訴訟になった場合は熊本地方裁判所八代支部が管轄となり、示談で終えるか訴訟に進むかで見込める賠償額が変わることもあります。当事務所は八代オフィスを拠点に、地元の医療機関への通院状況を踏まえてご相談を伺っています。
こんなときは弁護士へご相談ください
- 保険会社から提示された賠償額が妥当か分からない
- 治療がまだ必要なのに、保険会社から治療費の打ち切りを告げられた
ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。
お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
お問い合わせフォームはこちら
本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。
執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2026-10-15 / 最終更新日:2026-10-15

