熊本で事業承継を相談するならどこ?支援機関と弁護士の役割・進め方を八代の弁護士が解説
2026/10/17 08:31|カテゴリー:事業承継
こんにちは。弁護士法人Si-Lawです。「熊本で事業承継を相談するなら、どこへ行けばよいのか」。八代や熊本市の経営者の方から、この質問を本当によくいただきます。商工会議所なのか、取引銀行なのか、M&Aの会社なのか、それとも弁護士なのか。窓口が多いぶん、最初の一歩で止まってしまう方が少なくありません。この記事では、熊本県内で事業承継を相談できる窓口を整理したうえで、どこまでが公的な窓口の仕事で、どこからが弁護士の仕事なのかを、八代で中小企業のご相談を受けている立場から整理します。

熊本で事業承継を相談できる窓口は大きく6つ
熊本県内の相談先は、おおよそ次のように分かれています。まず熊本県事業承継・引継ぎ支援センター。国が各県に置いている公的な窓口で、熊本市中央区横紺屋町10の熊本商工会議所5階にあります(電話096-311-5030)。親族への承継も、第三者への引継ぎも扱い、相談に費用はかかりません。次に八代商工会議所をはじめとする商工会議所・商工会。日ごろの決算や融資の相談の延長で話を切り出せるのが強みです。熊本県よろず支援拠点(公益財団法人くまもと産業支援財団が運営)は経営全般の窓口で、何度でも相談できます。これに金融機関(肥後銀行・熊本銀行・地元の信用金庫など)、M&A仲介会社、そして弁護士が加わります。

公的な窓口と弁護士では、相談できる中身が違う
この二つは競合しません。役割が違うだけです。ざっくり言えば、公的な窓口は「方向を決める」場所、弁護士は「決めた方向どおりに権利を動かす」場所です。後継者がいないがどうしたものか、という段階なら、まず支援センターや商工会議所へ行くのが自然です。一方、株式を誰にどう渡すか、保証をどう外すか、契約や許認可は引き継げるのか、という権利と契約の話になった瞬間に弁護士の領域に入ります。なお、熊本県弁護士会と熊本県事業承継・引継ぎ支援センターは、2022年に事業承継支援の連携協定を結んでいます。公的窓口から弁護士につなぐ道筋は、県内でも整えられてきています。
税金の話(株価の評価や納税猶予、申告)は税理士の領域です。当事務所では、税額の計算や申告は連携する税理士が担当し、弁護士は遺産分割・遺留分・契約など法律問題を担当する形でお受けしています。
弁護士へ先に相談した方がよい5つの場面
次のような事情が一つでもあるときは、順番を入れ替えて、早い段階で弁護士にも相談しておくことをおすすめします。あとから戻って直すほうが、時間も費用もかかるからです。
①株式が親族に分かれている・名義株がある場合。創業時に頭数をそろえるために名前を借りた株が、二代目・三代目の代になって所在不明になっている会社は珍しくありません(自社株が親族に分散している。買い集めるには?)。②先代の相続と重なっている場合。株が遺産分割の対象になり、遺留分の問題も出てきます(社長が急に亡くなり自社株が相続でもめたら?)。③契約と許認可。店舗や工場の賃貸借、取引基本契約の支配権変更条項、建設業許可や運送業の許認可は、承継の方法によって引き継げるかどうかが変わります(株式譲渡と事業譲渡どちらを選ぶ?)。④経営者保証が残っている場合(事業承継で経営者保証は外せる?)。⑤役員や従業員との間に火種がある場合です。
八代・熊本で進めるときの手順と、そろえておく資料
初回のご相談までに、決算書3期分、株主名簿、定款、登記事項証明書、許認可の写し、借入金と保証の一覧、主な契約書をお手元にそろえていただけると、その場で論点の整理まで進められます。登記事項証明書は熊本地方法務局八代支局(八代市西松江城町)などで取得できます。相続が絡んで調停や審判になる場合の管轄は、県南であれば熊本家庭裁判所八代支部です。
八代・人吉・水俣・天草といった県南地域で私たちが気をつけているのは、情報の広がり方です。取引先も金融機関も限られているため、「社長が会社を手放すらしい」という話は、本決まりになる前に伝わってしまうことがあります。従業員の動揺や取引条件の見直しにつながるので、誰に、どの順番で、どこまで伝えるかを最初に決め、秘密保持契約を結んでから具体的な話に入るのが安全です。
相談のタイミングは「まだ早い」と思うくらいが適切
事業承継は、着手が早いほど選べる手が多くなります。株を少しずつ動かす、後継者に経験を積ませる、保証を外す交渉をする。どれも年単位の時間が要るものばかりです。逆に、体調を崩してから、あるいは相続が起きてからの着手になると、選択肢は目に見えて減り、進め方も限られてしまいます。社長が60代に入ったら、具体的な予定がなくても一度全体像を確認しておく。これが、結果的にいちばん負担の軽い進め方だと考えています。
よくあるご質問
Q.「事業承継」と「事業継承」はどちらが正しいのですか。
読み方はどちらも「じぎょうしょうけい」です。法令や公的機関の名称では「事業承継」が使われます。「承継」は地位や権利義務を受け継ぐという法律用語で、事業承継の場面ではこちらが適切です。
Q.熊本市と八代で、相談する窓口は違いますか。
熊本県事業承継・引継ぎ支援センターは県内に一つで、八代の事業者も同じ窓口を利用できます。商工会議所・商工会は地域ごとにあるため、八代の会社であれば八代商工会議所が身近な窓口になります。
Q.個人事業ですが、同じように相談できますか。
できます。個人事業の場合は株式ではなく、屋号・許認可・取引先との契約の引継ぎが中心になります(個人事業主の事業承継は何が必要?)。
八代・熊本での相談実務
八代地域は農業・食品加工・建設業など、経営者個人の信用と地元の取引関係で成り立ってきた事業者が多く、後継者不在のまま代表者が高齢化しているケースが目立ちます。自社株の分散や個人保証(経営者保証)の引継ぎは、金融機関との事前の調整が欠かせません。当事務所は八代・熊本で、法務面からの事業承継支援と、第三者承継(M&A)のご相談に対応しています。
なお、自社株評価や事業承継税制の適用可否など税務の判断は税理士の業務です。当事務所は株式の集約・経営者保証・契約や許認可の引継ぎといった法律問題を担当し、税務は連携する税理士が対応します。
こんなときは弁護士へご相談ください
- 後継者は決まっているが、自社株や個人保証の引継ぎが進まない
- 後継者が見つからず、第三者への譲渡(M&A)も選択肢に入れたい
ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。
事業承継・M&Aと譲渡案件の情報については、専門サイト「この街の事業承継」でもくわしく解説しています。
お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
お問い合わせフォームはこちら
本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。
執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2026-10-17 / 最終更新日:2026-10-17

