離婚協議書には何を書く?公正証書にすべき場合と作り方を八代の弁護士が解説
2026/09/30 08:39|カテゴリー:離婚
こんにちは。弁護士法人Si-Lawです。話し合いで離婚する「協議離婚」では、離婚届を出す前に離婚協議書を作っておくかどうかで、離婚後の生活が大きく変わります。今回は、離婚協議書に何を書けばよいのか、公正証書にしたほうがよい場合、作るときの注意点を、八代・熊本でご相談を受けている立場からまとめます。

離婚協議書とは?口約束だけでは足りない理由
離婚協議書は、夫婦が話し合って決めた離婚の条件を書面にしたものです。協議離婚そのものは、離婚届に夫婦2人と成年の証人2人が署名して役所に出せば成立します。養育費やお金の取り決めがなくても、離婚届は受理されます。
ところが、離婚後に「養育費は月5万円と言ったはず」「そんな約束はしていない」と食い違うご相談は少なくありません。口約束は証拠が残らず、相手が払わなくなったときに請求の根拠を示せません。条件を文字にして双方が署名しておくこと自体に、大きな意味があります。
協議離婚と調停離婚の違いは協議離婚と調停離婚は何が違う?で解説しています。
離婚協議書に書いておきたい項目
最低限、次の項目を確認しておくと、後から「決めていなかった」という事態を防げます。

1.離婚の合意と届出 どちらがいつまでに離婚届を出すかも書いておきます。
2.親権者 2026年4月の民法改正で、離婚後も父母が共同で親権を持つ「共同親権」を選べるようになりました。単独親権か共同親権か、共同の場合は日常の世話(監護)をどちらが担うのかまで決めておくと、進学や転居のときに揉めにくくなります。
3.養育費 月額だけでなく、支払日・振込先・いつまで払うか(「20歳の誕生月まで」「大学卒業の月まで」など)・進学や病気の特別な出費の分担を書きます。金額の目安は養育費の相場は算定表でいくら?をご覧ください。
4.面会交流 「月1回程度」など頻度と、日時や受け渡し方法の決め方を定めます。細かく決めすぎると守れなくなるため、実情に合わせることが大切です。
5.財産分与・慰謝料・年金分割 誰が何を受け取るか、支払額と期限、分割払いならその回数を具体的に書きます。自宅の名義変更や住宅ローンの扱いも忘れやすい点です。財産分与の考え方は財産分与は2分の1が原則?、年金分割は離婚の年金分割で年金はどれだけ増える?で詳しく説明しています。
6.清算条項・通知義務 「本書に定めるほか、互いに何らの債権債務がないことを確認する」という清算条項を入れると、後から別の請求をされる余地を小さくできます。住所・勤務先・連絡先が変わったら知らせる約束も入れておくと、養育費の回収で役立ちます。
公正証書にすべきなのはどんな場合?
夫婦で作って署名した協議書(私文書)も証拠にはなります。ただ、相手が払わないときに給料や預金を差し押さえるには、原則として調停や裁判で改めて「債務名義」を得る必要があり、時間がかかります。
これに対し、公証役場で「強制執行認諾文言」を付けた公正証書にしておけば、金銭の支払いが止まったときに裁判を経ずに差押えの手続きに進めます。養育費のように長く続く支払い、分割払いの財産分与や慰謝料があるなら、公正証書にしておく意味は大きいといえます。実際の差押えの流れは養育費が支払われなくなったら?差押えまでの手順で解説しています。
なお、2026年4月の改正で、養育費については取り決めの書面があれば一定額まで優先的に回収しやすくする仕組み(先取特権)も設けられました。とはいえ、対象となる金額には上限があり、財産分与や慰謝料は含まれません。支払いが続く約束がある場合は、公正証書にしておくほうが安心です。
年金分割を話し合いで決める場合は、公正証書などの公的な書面が必要になる点にもご注意ください。公正証書の作成には、取り決める金額に応じた公証役場の手数料がかかります。
作るときの流れと、よくある失敗
一般的には、①夫婦で条件を話し合う、②協議書の案を作る、③内容を確認して署名押印する(公正証書にする場合は公証役場に案を送り、予約した日に2人で出向く)、④離婚届を提出する、という順番です。離婚届を先に出してしまうと、相手が話し合いに応じなくなることがあるため、条件を固めてから届け出るのが原則です。
よくある失敗は、次のようなものです。
・「養育費は子が成人するまで」とだけ書き、18歳か20歳かで争いになる
・「財産は折半」とだけ書き、どの財産を誰が取るのか特定していない
・インターネットのひな形をそのまま使い、自宅ローンや学資保険の扱いが抜けている
・一方的に不利な条件のまま、早く離婚したい一心で署名してしまう
一度署名した協議書を後から覆すのは簡単ではありません。署名する前に、弁護士に内容を見てもらうだけでも見落としを減らせます。
よくある質問
Q.離婚届の証人は誰に頼めばよいですか?
A.成年であれば、親・兄弟・友人など誰でもなれます。離婚協議書の内容を証人に見せる必要はありません。
Q.離婚した後からでも協議書は作れますか?
A.作れます。ただし、相手が応じなければ調停などの手続きが必要になります。また、財産分与などは離婚後に請求できる期間が限られているため、早めの対応をおすすめします。
Q.相手が公正証書にすることを嫌がったら?
A.まずは私文書でも協議書を残しておくことが大切です。支払いが長期にわたる場合は、公正証書が相手にとっても支払いを明確にする意味があることを伝えて話し合うのが一般的です。合意できない場合は、家庭裁判所の調停で取り決める方法もあります。
八代・熊本での相談実務
離婚調停は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。八代市周辺にお住まいであれば熊本家庭裁判所八代支部、熊本市方面であれば熊本家庭裁判所本庁が窓口になります。調停は平日の日中に月1回程度のペースで開かれるため、お仕事の都合がつきにくい方は早い段階でご相談ください。当事務所は八代・熊本の両オフィスで対応しており、遠方の方にはオンラインでの相談もご案内しています。
こんなときは弁護士へご相談ください
- 相手が離婚に応じない、親権や養育費の条件で折り合わない
- 離婚後に約束した養育費が支払われなくなった
ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。
離婚・慰謝料・親権・養育費については、専門サイト「Si-Law 離婚・不倫相談サイト」でもくわしく解説しています。
お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。
執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2026-09-30 / 最終更新日:2026-09-30

